はしご酒(Aくんのアトリエ) その九十三
「メラビア~ン!」①
目は口ほどにモノを言う、とAくん。
その「表裏一体」論からの新たなる展開なのか、それとも、唐突なる話題の変更なのかがわからないまま、Aくんの、目が口ほどにモノを言う、という言葉が、スポンと私の中に入り込む。
そういえば、随分と昔のことだけれど、ある人が、日米の懐かしの冒険活劇を比較しながら、ある視点からあるコトを熱く語っていたことを思い出す。その人が誰であったのかは、全く覚えていないのだけれど。
その受け売りをそのまま語り始めてしまう、私。
「アメリカの西部劇に登場するような列車強盗団は、口元をハンカチで隠しているのに、この国の、たとえば、鉄腕アトムなどに登場するギャングたちは、そのほとんどが黒いサングラス、ですよね」
「そうそう、それだよ、それ、目は口ほどにモノを言う。おそらく、少なくとも当時のアメリカでは、目は口ほどにモノは言わなかった、のだろうな」、とAくん。
「だから、隠す必要がなかった、と」
「かもしれない。で、ココで、口以外のモノ、つまり、言葉以外のモノ、ってヤツが、ブクッと浮上する」
言葉以外のモノ、とは。
それが、目、か。
またまたジワリジワリとヤヤこしくなってきたぞ、と、ほんの少し、更なるソコからの展開に、身構える。(つづく)