ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1050

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と八十一

「ダケド アツキモノヲ タギラセナイワケニハ イカナイ」

 「とは言っても、だからといってその終焉を、知らん顔してボンヤリと、眺めていればいいってもんでもないだけに、さ、ココからどうする、って話なわけよ」

 相変わらずのわかりにくさはそのままに、逆噴射と面舵いっぱいとを駆使して、一気に、ココまでの話の流れを丸ごと変えてしまおうとする、Aくん。

 原発の終焉、ではなかったのか。

 終焉であっては、いけないのか。

 やはり、再稼働なのか。

 それとも、新増設なのか。

 さすがに私の頭の中は、混乱まみれである。

 「つまり、どんなコトも、いったん手をつけたなら、その始末に全責任をもたなければならない、ということだ」

 ん?

 「その始末に、ですか」

 「始末のコトを真剣に考えてこなかっただけに、原発は、ココからが勝負だと言っていい」

 ココからが、勝負、か~。

 「始末のコトを事前に考えることなく、やれ安価だとか、やれクリーンエネルギーだとか、と、耳障りのいいコトばかりを触れ込んで、この国を、原発まみれにしてきたわけだからな~」

 そして、「絶対にない」と豪語していた事故まで起こしてしまう。

 「そうしたコトを全てひっくるめて考えていれば、到底、安心で安全で、安価なエネルギーなどとは言えなかったはずなんだけれど。あの人たちは、言っちゃうわけよ。安心で安全で安価なエネルギーだとね」

 ふ~。

 なんだかズンズンと気持ちが沈んでいく。

 「それゆえ、信じられないほどの数の原発が、つくられ、トンでもない事故まで起こしてしまった。だから、だからこそ、僕は、この原発の始末は、学問としても経済の核としても、熱きモノを滾(タギ)らさないわけにはいかない、最重要であって最先端の分野であると思っている」

 最重要であって、最先端、か~。

 なるほど、たしかに、知らん顔している場合ではないし、捨て置いていいという問題でもない。

 ナニがナンでも、世界中の国々の総力を挙げて、とくに、未来を担う若者たちが、その情熱を、イイ意味での拘(コダワ)りを、そして、英知を、結集して、原発のその始末に臨んでいくことができるように後押しをしていかなければ、この国の、この星の、未来は、絶望的に暗い。(つづく)