ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1038

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と六十九

「カネデハ カエナイモノ ガ アルダロ」

 「マジで、カネカネカネカネ、カネなんだよな~、このところの、この国は」、とAくん。

 おっしゃる通り、私も、ホントにこの国はドウしてしまったのかと心配になってくるほど、カネカネカネカネ、カネだな、と、マジで思う。

 「金(カネ)がもつ、限りなく麻薬にも似たナニかが、きっと、ピーポーたちの魂を、見事なまでにダークに染め上げるのでしょうね」、と私。

 「とはいえ、経済系のピーポーたちの、その気持ち、わからなくはない。となると、やはり、キーを握るのは政治系ピーポーたち、ってことになるんだろうな」

 キーを握るのは、政治系ピーポーたち、か~。

 「今宵、何度も登場している、あの、近江(オウミ)の商人たちの『三方よし』。ヤヤもすると、どうしても、疎(オロソ)かになりがちだが、儲けを追求しなければならない経済系ピーポーたちにとっては致し方のない面もあるのかもしれない。だから、だからこその政治系ピーポーたちの出番であるはずなのに・・・」

 ソコまで語ってAくん、グラスの中に少しだけ残っていたタナ種の黒ワインをグビッと呑み干したあと、またまた黙りこくってしまう。

 おそらくAくんは、スキあらばズルズルと「二方よし」やら「一方よし」やらに陥ってしまいがちだからこそ、少し距離を置いたトコロから冷静に、客観的に、もちろん未来もシッカリと見据えた上で、政治系ピーポーたちが、グッと「三方よし」へと導いていかなければならない、と、ソレこそが政治の役目だ、と、言いたいに違いない。しかし、残念ながら、そうは問屋が卸してくれそうにないものだから、おもわず、またまた沈黙の闇への扉を開けてしまったのだろう。

 そんなAくんを、一刻も早くソコから引っ張り出すために、慎重に、扉を開けて、その闇の中を弄(マサグ)るようにして、私の思いを語ってみる。

 「もちろん、皆が皆とは言いませんが、政治系ピーポーたちまでもが『カネカネカネカネ、カネ』と思ってしまう、言い出してしまう。そして、更に、ソコに選挙の票集めも絡んで、政治の立場から、政治の力を使って、その『カネカネカネカネ、カネ』の後押しをしてしまう、という、ナンともカンともな歪んだ構図。本来の政治の役目からは、ドンドンと、悲しくなってくるほど逸脱しつつありますよね」 

 すると、私の言葉に引っ張り出されるようにして、どうにかこうにか扉の向こうからコチラ側にヌッと顔を出したAくん、今まで以上に吐き捨てるように、「金(カネ)では買えないモノがあるだろ、と、僕なんかは思うのだけれど、あの人たちは、きっと、金(カネ)でしか買えないモノがあるだろ、と、言い返してくるのだろうな」、と。

(つづく)