ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.981

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と十二

「ナイカクジンジキョク ノ ヤミ」

 どの組織も同じようなものだとは思うが、と、オープニングから低空飛行気味の、Aくん。

 「仮に、万が一にもだ。自分にとって都合がいい。自分が考えるコトにとって都合がいい。自分が起こそうとしているコトにとって、圧倒的に都合がいい。みたいなコトしか考えずに、考えられずに、『伝家の宝刀』を抜いてしまったとしたら、どうだい。ドコからドウ考えても、そんな組織に未来などないだろ。違うかい。そうは思わないかい」

 ん?

 あっ、あ~。

 一気に、その低空飛行のそのナゾが溶解する。

 「伝家の宝刀、って、アレ、ですか」

 「そう、アレ、だ。権力者が、権力にモノを言わせてこの刀を振り回し始めたら、たいていは、もうおしまいだ」

 伝家の宝刀、というよりは、妖刀、と、言った方がいいかもしれない。そう、妖刀。妖刀は、ソレを手にした主(アルジ)の魂を徐々にグチャグチャッと狂わせていく、という。言い換えれば、狂ってしまうほど妖しい致命的な魅力に満ちている、ということなのだろう。

 「人事、ですよね」

 「そう、その通り。人事、人事権」

 やはり、人事、人事権、人事の権。けん、ケン、人事の、剣?。

 な、なるほど、そういうことか。

 伝家の宝刀は、妖刀は、人事の剣、なんだ。なるほど、なるほどな~。などと、勝手に悦に入っていると、Aくん、「その最たるダメ見本が、内閣人事局だろうな」、と。

 「な、内閣人事局?」

 「まさに、内閣人事局の闇。この闇は、想像以上にトンでもなく深い」

 「闇、ですか」

 「そう、闇。そして、その闇は、ジワリジワリと組織やら国やらに広がっていくわけだ」

 トップが本当に素晴らしい人であるならまだしも、そのトップが、そのトップの魂が、仮に病んでいたとしたら、と、ほんの少し考えてみただけでも、そら恐ろしくなる。

 「マジで思うんだよな~」

 ん?

 「彼女たちに、あの女性ロッカーたちに、できることならついでに、その闇も、ブワ~ッと吹き飛ばしまくってもらいたい、ってね」

(つづく)