ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.980

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と十一

「ブワ~ット フキトバシマクル!」

 今になって思えば、ひょっとしたら、あの時代、女性ロッカーたちの、その命懸けの「ロックロール」は、それほど生やさしいモノではなかったのかもしれないな、と、ハードロックをこよなく愛し続けてきたAくん、またまたロック談義の幕を開ける。一定の間隔をおいて周期的にAくんは、あの頃のあのロックを熱く語り出すのである。

 「事実はどうであったのか、なんてことは僕には全くわからないが、当時の女性ロッカーたちもまた、女性に対する差別や偏見や蔑視(ベッシ)といったトンでもなく悪しきモノモノモノと、闘っていたんじゃないかって思うんだよね」

 ん~。 

 ロックが、ハードロックが、実はロックなんかじゃなくて、目一杯、ビジネスそのものであった。と、なると、当時のビジネス社会は、当然のごとく凄まじいジェンダーバイアスまみれの男権社会であったわけだから、Aくんの指摘通り、女性ロッカーたちの苦悩は、相当なモノであったと、こんな私でも、なんとなくながら想像はできる。

 「そんな社会の中で立ち上がる女性ロッカーたちの魂の奮闘。これだよ、これ」

 ん~、んっ!?

 そういえば、あのグラミー賞においても、未だに、そうした性差別の実情を、現実を、女性ミュージシャンたちが幾度となく訴えている、という。つまり、まだまだなのだ、ということなのだろう。

 「この星に、まだまだ根強く撒き散らされる性差別の腐敗臭。そんなクソまみれの悪臭を、ジャニス・ジョップリン、あのハートのウィルソン姉妹、そしてスティーヴィー・ニックス、さらには麻生レミ、カルメン・マキ、が、ブワ~ッと吹き飛ばしまくる、みたいな、その感じがいいんだよな~」

(つづく)