ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.957

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と八十八

「キク チカラ」①

 私には聞く力がある。

 私には聞く力が、ある?

 ほ~、実に結構なコトである。と、普通は、思う。

 しかしながら、よくよく考えてみると、「聞く力」のその意味が、よくわからないことに気付く。いったん、よくわからなくなると、そもそも「聞く」ってナンなんだ。みたいな、そんなトコロまで、全くもってわからなくなる。

 聞くとは、聞く力とは、いったい、ナンなのだろう。

 「聞く。聞く、って、聞く力、って、ナンだと思いますか」、と私。

 「聞く?。聞く力?。またまた難しいコトを言ってくれるよな~、君は」、とAくん。

 いつものパターンだと、このあと、Aくんは、間違いなく沈黙の扉を抉(コ)じ開ける。

 「・・・」

 やっぱりだ。

 氷が溶けて単なる水になってしまった、ということもあってか、Aくん、またまた奥へと姿を消してしまう。

 聞く。

 聞く力。

 聞く、力。

 ん?

 じゃ、聞く力の反意語は、ナンだろう。

 聞けない、力?

 聞かない、力?

 聞こえていても気付かない、力?

 聞こえていても気付かないフリができる、力?

 マ、マズい。

 さらに一層ヤヤこしくなってしまった。

(つづく)