はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と八十八
「キク チカラ」①
私には聞く力がある。
私には聞く力が、ある?
ほ~、実に結構なコトである。と、普通は、思う。
しかしながら、よくよく考えてみると、「聞く力」のその意味が、よくわからないことに気付く。いったん、よくわからなくなると、そもそも「聞く」ってナンなんだ。みたいな、そんなトコロまで、全くもってわからなくなる。
聞くとは、聞く力とは、いったい、ナンなのだろう。
「聞く。聞く、って、聞く力、って、ナンだと思いますか」、と私。
「聞く?。聞く力?。またまた難しいコトを言ってくれるよな~、君は」、とAくん。
いつものパターンだと、このあと、Aくんは、間違いなく沈黙の扉を抉(コ)じ開ける。
「・・・」
やっぱりだ。
氷が溶けて単なる水になってしまった、ということもあってか、Aくん、またまた奥へと姿を消してしまう。
聞く。
聞く力。
聞く、力。
ん?
じゃ、聞く力の反意語は、ナンだろう。
聞けない、力?
聞かない、力?
聞こえていても気付かない、力?
聞こえていても気付かないフリができる、力?
マ、マズい。
さらに一層ヤヤこしくなってしまった。
(つづく)