ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.884

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と十五

「シュウチュウ ト ジュクセイ ト フハイ ト」

 この国に限ったことじゃないとは思うが、権力をこよなく愛す権力愛好者たちってのは、なぜ、権力を握れば握るほど、あの手この手を駆使して、上手い具合に一般ピーポーたちをはぐらかしつつ騙しつつ、その権力を更に一層パワーアップさせようとするのだろう、と、疑問を呈するAくん。権力などというものは、集中すればするほどダークに澱んでいく、と、相場は決まっているのに、それでも集中させたいんだな~、と、呆れ果てるように、そう吐き捨てる。

 「でも、おそらく最初は、純粋に、国民のために、国をより良くしたい、という思いであったのではないですか」、と、またまた酔った勢いで、よせばいいのに権力者側の肩をもつようにプチ反旗を翻してしまった、私。もちろん翻した尻から後悔する。

 「で、その思いをより達成せんがために権力を集中させるのだ、と、君は言いたいわけだ」

 「いや、別に私はそんなこと、言いたくないです。ただ、そうじゃないかな~、って」

 「最初は、熟成を目指していたにもかかわらず、結果として『腐敗』を招いてしまった、ということかい」

 熟成ではなく腐敗を、か~。

 「そうとも言えるかもしれません。権力を集中させて一気に『熟成』を目指そうとしたら、図らずも『腐敗』を生んでしまった」

 「それほど熟成と腐敗は、見間違えてしまうぐらい似ている、ということなんだろうな。だけれども、もちろん、似てはいるが、人類にとっては『真逆』と言っていいほど、全くもって違うわけだ」

 たしかに、トンでもないほど真逆だ。

 「だから、その見間違いを防ぐためにも、いち早くその見間違いに気付くためにも、権力は、ナニがナンでも絶対に、集中させてはいけない、と、僕は思っている」

 イロイロな目がある。

 イロイロな力がある。

 そんな目と力が、自分から少し離れたトコロにクールにあってくれるから、気付き難(ニク)いモノもギリギリ気付けたりするのだろう、と、私も思う。

 ところが、いかんせん、権力独り占め愛好者たちは、そうしたシモジモの言葉に耳を傾けようとしない、という悪魔の特性をもっているがゆえに、悲しいかな、立ち止まることも振り返ることも、そして、自らを律することも、そう簡単には、できやしないのである。(つづく)