ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.818

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と四十九

「ヨウカイ ファシズムンムン」

 思い出した。

 Aくん命名の妖怪、ファシズムンムン。

 ムンムンと臭い立つ邪念と欲望と暴力性が、この妖怪のもちアジ、最大のウリ、であるという。

 「ファシズム

 思い切って、唐突感満載で口火を切ってみる。

 おっ、という表情の、Aくん。

 「しばしば、様々なタイミングで、シチュエーションで、注目される言葉であるファシズムの」

 ココで、強引に分け入ってくる、Aくん。

 「その、そのファシズムの申し子である、妖怪」

 ソレを遮(サエギ)る、私。

 「ファシズムンムン、ですよね、たしか」

 おおっ、という表情の、Aくん。

 「よく覚えていたな~。そう、それそれ、邪念と欲望と暴力性ムンムンの妖怪ファシズムンムン。ソイツが、あの、アドルフ・ヒトラーが、こよなく愛したオキテ破りの戦略ツール『プロパガンダ』を駆使して、ポピュリズムの渦を巻き起こす」

 「プロパガンダ、ですか」

 「そう、プロパガンダ。いわゆる、広告だな。コイツが、使い方一つで悪魔の戦略ツールにもなり得る、ということだ」

 なんとなく、ゾワゾワとしてくる。

 「情報操作で思想操作、ってことですか」

 「そうそう。そして、ソコにもう一枚、インフルエンサーが加わる」

 「インフルエンサー、ですか」

 「歩く影響力、みたいな存在だな」

 歩く、影響力?

 「あの人がこんなことを言っていたよ。あの人が言っているんだから、きっと、そうなのだろう。的な、そんな感じだ」

 なんとなく、フムフムと頷(ウナズ)ける。

 「さらに、ソコにもう一枚」

 「ま、まだ、あるのですか」

 「コレが最悪、最強、かもしれない」

 なんとなく、ググッと身を乗り出す。

 「メディア」

 あ~。またまた、メディア、か~。

 「メディアそのものが、都合のいいインフルエンサーを上手い具合に使って、強大なインフルエンサー化する。コレほど怖ろしいことはないだろ」

 プロパガンダからの、インフルエンサーからの、メディアからの、ポピュリズムからの、ファシズム・・・。

 ふ~。なんとなく、悪寒がしてくる。(つづく)