ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.618

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五十九

「ヨウカイ オコメバナレ」②

 いや、そんなことはない。

 以前にAくんも言及していたように、他の食品に比べて、圧倒的にアレルギーは少ないみたいだし、玄米であれば、ほぼ完全食品らしいし、そもそも、食卓に並ぶ大抵の料理にビタッと合うのも間違いなく「ごはん」だし、それどころか、近い未来にあるかもしれない地球規模の食糧危機にも、きっと、大いなる貢献をするに違いないし、なのである。それほどまでにパワーに満ち満ちた「米」が、そう易々と、そんなクソ怪しい妖怪ごときに、好きなようにしてやられ、弄(モテアソ)ばれてしまうことなど、あろうはずがない。・・・

 

 そ、そうだ!

 

 おもわず、心の中で、とはいえ、自分でも驚いてしまうほどの大きな声で叫んでしまう。

 「ごはんのお供。どうです?、ごはんのお供は」

 国家プロジェクトとして、ごはんのお供の開拓と、更なる進化を力強く掲げることにより、もう、ごはんなしでは一日だって生きていけるもんか感、の、その全国的な定着を図る、図り倒す!。

 そんなふうに完全に、妄想が妄想を呼ぶ妄想妄想ワールドに突入しようとしていた、まさにそのとき、Aくんが、私を覚醒させるかのように復活の雄叫びをあげる。

 「おおっ!。いいよ、それ。妖怪オコメバナレの急所を突くためには、まず、米食への入り口のその敷居を、どれだけ低く下げられるか、に尽きる、と、思う。最初から米そのものの味で勝負するのではなく、不本意ではあるけれど、ごはんに、オキテ破りの魔法をかけることで、よりとっつきやすいものにすることもまた、肝要!」

 燃えるがごとく熱く語るAくんに、「とくにオススメのごはんのお供を一つ、と尋ねられたら?」、と。

 するとAくん、「そりゃ~、やっぱり、ちりめん山椒だな。とくに、初夏かな~、その頃の、ほら、あの青々とした実山椒がキラキラと入っているヤツ、もう最高!」

 あ~、あの、ちりめん山椒か~。わかる、わかりますとも。

 京都を訪れるたびに伺っていた、白川通りからナン筋か東に入ったところにあるちりめん山椒屋さん。今でも、元気にされているだろうか。

 もちろん、他にも色々と、強豪ぞろいの「ごはんのお供」部門だけれど、たしかに、妖怪オコメバナレに対する、まずは最強の急先鋒と、なり得るかもしれないな。(つづく)