ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.697

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と三十八

イカナルサベツモ ユルサナイ」

 「理屈抜きに、いかなる差別も許さない、と、謳(ウタ)っているにもかかわらず、大抵の場合、そうした差別に対する対応は、ルーズで、いい加減で、ソコに、この国、この星、挙げての、決死の覚悟みたいなものが、気概も含めて、ほとんど感じられないんだよな~」、と、Aくん、ニジニジと語り出す。

 地球規模の、決して避けて通れない、大きくて重たいテーマだな、と、この私も、ニジニジと思う。

 「たとえば、ボーダーレスな究極の平和という大義名分を掲げて、エゲツないほどのお金も労力も時間もかけて行う、あのモンスター級のスポーツイベントであったとしてもだ、ヤヤもするとどうしても、邪念に塗(マミ)れに塗れて、ブレにブレてブレまくる。挙げ句の果てには、愛国心国威発揚めいた言葉までもが飛び交ったりする始末だ」

 それほど、ボーダーレスな究極の平和なるものは、人類ごときが目標にするにはあまりにも崇高すぎて、ハードルが高い、高すぎる、ということのなのかもしれない。

 「でも、それでも、掲げる目標は、安易な妥協の産物であってはならないわけでしょ」、と私。

 「そりゃそうだよな~。最初から妥協の産物では、あまりにも悲しすぎる。よし、よし、よ~し!。思いの外ハードルは高く、壁は分厚く堅牢ではあるけれど、誰がナンと言おうが、誰がドウ足を引っ張ろうが、理屈抜きに、いかなる差別も許すことなく、ボーダーレスな究極の平和を希求しようではないか」、と、5割増しほどにヒートアップしたAくん、珍しく必要以上に声高らかに、吠えに吠える。(つづく)