ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.927

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と五十八

「シケイ!!」①

 おそらく、今なら、ちょっとしたクレームもの、かもしれないな、とAくん。

 ん?、ちょっとした、クレームもの?

 その、今ならちょっとしたクレームもの、なるモノを、またまた私の脳内コンピューターを使って、大急ぎでアナログ検索してはみたが、当然のごとく、サッパリ、ヒットしない。

 「あの頃は、まだ、差別的な発言やらナンやらが、悪気も悪意もドコ吹く風と、大手を振って街中を闊歩していたからな~」

 あ~。

 良く言えば、おおらかな。悪く言えば、人の心の痛みなど知ったこっちゃない、みたいな、そんなあの頃の話のようだ。

 「そんなあの頃の、理屈抜きに元気ハツラ~ツであった漫画の一つが、忘れもしない『がきデカ』。天才、山上たつひこ氏の手によるギャグ漫画の金字塔だ」

 「が、がきデカ、ですか」

 全くもって、初耳である。

 「警察官史上初の、小学生警察官の数奇な日常を描いた物語」

 へっ。

 「も、ものすごい設定ですね」

 「ソレが、名探偵コナンみたいな清廉潔白で、正義感溢れる少年の冒険物語なのではなくて、2頭身の、ナニかにつけてシュールな少年のハチャメチャ物語なわけ」

 に、2頭身、の、シュールで、ハチャメチャ、か~。

 私が知る限り、たしかにあの頃のギャグ漫画には、恐れを知らない独特なハチャメチャ感があったかも。いい悪いは別にして、そういったハチャメチャ感は、時として、悪気やら悪意やらがあるのやらないのやら、そのあたりがどうもよくわからない差別的な表現をも巻き込んで、パワフルに弾けていたような気はする。

 「がきデカ以外の登場人物は皆、スッとしているのだけどね。彼だけは、安定の2頭身。その安定の2頭身から、切れ味鋭く繰り出される必殺の決めゼリフ、ソレが」

 それが?

 「八丈島のきょん!」

 は、八丈島の、きょん!?

 「と」

 ま、まだある?

 「死刑!!」

 し、死刑!?

 「死刑!!、ですか」

 するとAくん、スクッと突然立ち上がり、ナニを思ったか、コチラに向けてお尻を突き出してくる。

 ナ、ナ、ナニ!?

(つづく)