はしご酒(Aくんのアトリエ) その八十
「イイトコドリ!」
「先ほどの、科学的な根拠なき楽観主義、の、申し子とも言われている新種の鳥類『イイトコドリ』が、このところ、そこかしこで、羽ばたいて羽ばたいてタイヘンみたいなんだよな」、とAくん。
新種の鳥類?
「イ、イ、イイトコドリ、ですか」
「そう、イイトコドリ。ヘイキヨヘイキヨと鳴きまくり、恐れを知らない楽観主義を、スミからスミまでズズズズ~イと振り撒きまくる」
鳥類型の妖怪?
「またまた、妖怪、ですか」
「場合によっては、その楽観主義のおかげで、天使にさえなり得るのだけれど」
「でも、妖怪にも悪魔にもなり得る、ってことですよね」
「致命的なことがあったりするからな~」
致命的、か~。
目先の、金儲け、利便性、生産性、合理主義、価格破壊、オキテ破りの規制緩和などなど、この社会、おそらく、その妖怪にとっての必要な「餌(エサ)」に、コト欠くことはなさそうだ。
「他の妖怪たち同様、その妖怪鳥にとっても、この国は、この星は、棲みやすいということなのでしょうね」
よし、とAくん、よせばいいのに、ココで一句、詠む。
はばからず
はばたきまくる
イイトコドリ
Aくんには申し訳ないけれど、この分野の才能は、多分、もち合わせておられないような気がする。(つづく)