はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と九十八
「ニホンコスイヨジジュクゴタイショウ ハッピョウ!」①
「コスい」という形容詞がある。
構造的には、華麗なるカ行と爽やかなサ行との合わせ技一本!、みたいな、そんな風情漂う美しさを誇るものの、その意味合いは、残念ながらその真逆だ。
さらに、その漢字は、ケモノ偏にマジわると書いて「狡」。むしろ、コチラの方が、そのダークさを端的に表しているように思える。
そんな「狡(コス)い」を冠した四字熟語中の屈指の四字熟語、「日本狡い四字熟語大賞」を、以前、Aくんと、バカみたいにアレやコレやと選出し合ったことがある。
「あの時の、あの、日本狡い四字熟語大賞、覚えてますか?」、と、コレでもか、というぐらいの唐突さで、私。
「ん?」、と、まるで思い出せない様子の、Aくん。
「ほら、割烹居酒屋とまではいかないけれど、さりとて、大箱の大衆居酒屋という感じでもない、実に丁度いい塩梅の、あの、行きつけの居酒屋で、バカみたいに、狡い四字熟語合戦を繰り広げたことを、思い出せませんか」、と、食い下がる私。
すると、ようやく、「あ~!」、と、復活の狼煙(ノロシ)を上げた、Aくん。
「やったやったやりました。思い出したよ、日本狡い四字熟語大賞、ね」
(つづく)