はしご酒(Aくんのアトリエ) そのニ十八
「ヒトトシテ アマリニヒドクハナイデスカ」①
仮に、トンでもないことが起こってしまったそのときの、人々の行動が、各々、あまりにも違いすぎて、同じ人間なのに、ナゼにユエにココまで違うのか、と、かなりの勢いで面喰らうことがある、とAくん。
そしてさらに、「その人自身もタイヘンなのにもかかわらず、放ってはおけない、と、自分なりにできることに奮闘する方々がいる。その一方で、迷える人たちの弱みに付け込んで、食いモノにすることに全力で勤(イソ)しむ方々がいる。この、真逆の真っ二つのその要因は、いったいドコにあるのだろう、ドコからやってくるのだろう、と、思うわけよ、僕は」、と。
たしかに、弱者をターゲットにした、それはさすがに人として、あまりに酷くはないですか、と、思ってしまうようなことはある。どころか、増えつつあるような気さえする。
「もともとの、その人の、人としての資質の問題なのではないですか」、と私。
「つまり、生まれながらにして悪魔が宿っていると?」、とAくん。
いや、違う。そんなこと、あり得るわけがない。
「違います。そうじゃない」、と、大慌てで撤回したそのあと、もう一度、自分なりに深く、できうる限り深く、考え直してみようと、試みる。(つづく)