はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と十
「ソノバシノギ ノ ジンザイイクセイ」②
そんなことを思い出したりしながら独り言ちていると、Aくんが、ボソリと呟く。
「その場凌(シノ)ぎの人材育成に、明日はない」
えっ!?
「技能実習生をナンだと思っているんだ」
ええっ!?
「そもそも、外国人技能実習制度ってナンなんだ」
えええっ!?
「僕はね、この国を選んで、この国にやって来て、この国で腕を磨いた若者たちには、もし、本人たちにその思いがあるのなら、そのまま、この国の貴重な担い手の一人になってもらえれば、と、思っている」
あ、あ~。
ナンとなく言わんとすることが、ようやく見えてくる。
「そのためにも、収入面だけでなく、生活、教育、などなど、そういった周辺の全てを、国の使命として充実させなければならない」
なるほど。
「都合よく、頼るだけ頼っておいて、極めて雑に扱う、という、この国のやり口が、いずれは工事現場も、この国も、回らなくなってしまうであろう未来に、ダークに繋がっていく、ということだ」
なるほどな~。
この国の土台を維持していく意味でも絶対に必要な「現場」というものを軽んじたことで、この国の若者たちの気持ちがソコから離れ、とりあえず、ドコまでも上から目線で、外国人労働者に頼って急場を凌ごう、などという、実に姑息で自己中心的な政策に、明日などあろうはずがない。(つづく)