ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.769

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と十

「ソノバシノギ ノ ジンザイイクセイ」②

 そんなことを思い出したりしながら独り言ちていると、Aくんが、ボソリと呟く。

 「その場凌(シノ)ぎの人材育成に、明日はない」

 えっ!?

 「技能実習生をナンだと思っているんだ」

 ええっ!?

 「そもそも、外国人技能実習制度ってナンなんだ」

 えええっ!?

 「僕はね、この国を選んで、この国にやって来て、この国で腕を磨いた若者たちには、もし、本人たちにその思いがあるのなら、そのまま、この国の貴重な担い手の一人になってもらえれば、と、思っている」

 あ、あ~。

 ナンとなく言わんとすることが、ようやく見えてくる。

 「そのためにも、収入面だけでなく、生活、教育、などなど、そういった周辺の全てを、国の使命として充実させなければならない」

 なるほど。

 「都合よく、頼るだけ頼っておいて、極めて雑に扱う、という、この国のやり口が、いずれは工事現場も、この国も、回らなくなってしまうであろう未来に、ダークに繋がっていく、ということだ」

 なるほどな~。

 この国の土台を維持していく意味でも絶対に必要な「現場」というものを軽んじたことで、この国の若者たちの気持ちがソコから離れ、とりあえず、ドコまでも上から目線で、外国人労働者に頼って急場を凌ごう、などという、実に姑息で自己中心的な政策に、明日などあろうはずがない。(つづく)