はしご酒(4軒目) その百と百と四十四
「コドモタチ ハ コノホシ ノ ミライ」③
黙りこくったAくんを横目に見ながら、私は、小学生であったあの頃に、またまたタイムスリップしてみせる。
おっ、あの頃の私の部屋。なんとも贅沢な話だが、狭いながらもマイルームがあったのである。
そのマイルームで、夏休み中ずっと、湿らせた脱脂綿の上に乗せた10種類ほどの食材を、ひたすら観察し続けたことを思い出す。
それにしても、なぜ、カビなんぞに興味をもってしまったのか。あの、ナンともカンともな色とりどりの下品な感じに、心を奪われたのかな~。
なんにしても、そのまま夏休みを飛び越えて、エンドレスでカビを見つめ続けていたら、ナニやらものスゴいことを成し遂げていたかもしれない。のだけれども、悲しいかな、夏休みの終わりとともに終了してしまうところが、凡人の凡人たる所以なのだろう。でも、たとえ凡人であったとしても、ナニかの弾みで、あのままカビにのめり込んでいたら、ひょっとして・・・、などと思い出に浸りながら、アレやコレやと考えたりしていると、ようやく長い眠りから覚め、復活したAくんが、口を開く。
「僕の、じゃ、ないけど。友だちの、UFO(ユーフォー)絵日記、アレは衝撃的だった」
衝撃のUFO絵日記!?、どうにも、全く、想像すらできない。
「なんナンですか、それ」
「どんナンだと思う?」
「ココでクイズですか」
「ま、そのナンを、ちょっと想像してみてよ」
参ったな~、と思いつつも、ソコまで言うなら、と、気合いを入れ直して、もう一度、その想像に挑む。(つづく)