ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.503

はしご酒(4軒目) その百と百と四十四

「コドモタチ ハ コノホシ ノ ミライ」③

 黙りこくったAくんを横目に見ながら、私は、小学生であったあの頃に、またまたタイムスリップしてみせる。

 

 おっ、あの頃の私の部屋。なんとも贅沢な話だが、狭いながらもマイルームがあったのである。

 そのマイルームで、夏休み中ずっと、湿らせた脱脂綿の上に乗せた10種類ほどの食材を、ひたすら観察し続けたことを思い出す。

 それにしても、なぜ、カビなんぞに興味をもってしまったのか。あの、ナンともカンともな色とりどりの下品な感じに、心を奪われたのかな~。

 なんにしても、そのまま夏休みを飛び越えて、エンドレスでカビを見つめ続けていたら、ナニやらものスゴいことを成し遂げていたかもしれない。のだけれども、悲しいかな、夏休みの終わりとともに終了してしまうところが、凡人の凡人たる所以なのだろう。でも、たとえ凡人であったとしても、ナニかの弾みで、あのままカビにのめり込んでいたら、ひょっとして・・・、などと思い出に浸りながら、アレやコレやと考えたりしていると、ようやく長い眠りから覚め、復活したAくんが、口を開く。 

 「僕の、じゃ、ないけど。友だちの、UFO(ユーフォー)絵日記、アレは衝撃的だった」

 衝撃のUFO絵日記!?、どうにも、全く、想像すらできない。

 「なんナンですか、それ」

 「どんナンだと思う?」

 「ココでクイズですか」 

 「ま、そのナンを、ちょっと想像してみてよ」

 参ったな~、と思いつつも、ソコまで言うなら、と、気合いを入れ直して、もう一度、その想像に挑む。(つづく)