ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.416

はしご酒(4軒目) その百と六十七

「マタマタ タカダワタル ノ ススメ」①

 学生時代、私には、どこへ行くにも、いつも一緒だった相棒がいた。

 その名は「ももいろ号」。

 隣町の小さな自転車屋さんで、たしか、五千円ぐらいで購入した中古の自転車で、それから十年ぐらいのちに、大枚をはたいて、フランスから直輸入したロードレーサーとは、根本的に、機能性のみならず、その方向性もナニもかもが違う、いわゆる、ママチャリである。

 フレームやチェーンケースなどは、それなりにオシャレな桃色を、どうにかこうにか維持していたのだけれど、光り輝くはずであるべき金属部の錆(サビ)が、ひどい。

 その錆のあまりのひどさに、購入すべきかどうか、を、かなり迷っていると、「お兄さんが塗るなら、そのペンキとハケ、適当に使ってくれていいよ」、と、店のオヤジさん。

 「もちろん、塗ります!」、と、二つ返事で、ハンドルなど金属部を、銀色のペンキで一気に塗りあげる。自慢ではないが(自慢なのだけれど)、B級テイスト感迸(ホトバシ)る、実に、私好みのキッチュな出来栄えであったのである。しかも、さすがにコレを盗むヤツはいないだろう、というオマケ付きだ。(つづく)