ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.417

はしご酒(4軒目) その百と六十八

「マタマタ タカダワタル ノ ススメ」②

 そのころ私は、東西に細長い東京都の、ほぼ中央に位置する「国立」という町に住んでいた。この国立、普通に「こくりつ」と読みたいところだが、両隣の国分寺と立川との間だから、というその地名の由来を聞いて、なるほど、それならば「くにたち」だろう、と、すぐさま納得したことを覚えている。

 その「くにたち」を起点にした、休日の、ももいろ号deひとり旅。すでに、米軍の基地などは返還されていて、その一種独特な面影も、風前の灯ではあったのだけれど、それでもまだ、そこそこ気合いを入れて、ももいろ号を走らせれば、いつかは消えていく定めであろう興味深い残り香(ノコリガ)に、街中(マチナカ)で出くわすことができたのである。

 そして、そんな相棒、ももいろ号のテーマソングが、あの孤高のフォークシンガー、高田渡、の名曲、♪自転車にのって、なのである。

  自転車にのって ベルをならして

  あそこの原っぱで 野球のつづきを

  そして帰りにゃ 川で足を洗って

  自転車にのって おうちに帰る

  自転車にのって 自転車にのって

  ちょいとそこまで あるきたいから

 A面もB面も、隙間なく、その ♪自転車にのって、を、続けて何回も録音したカセットテープを、ウォークマンをふた回りほど大きくしたような小型カセットテープレコーダーにセットして、ルンルン気分で、どこまでも、どこまでも、どこまでも、チリンチリンと、ももいろ号は行(ユ)く。(つづく)