はしご酒(4軒目) その百と五十八
「ユカイハン ト カネノモウジャ ト ソノナカマタチ」④
「どうだい、ナニか見えてきたかい?」、とAくん。
「はい。悪魔たちのミーティングを、コッソリと盗み聞きさせてもらいましたから」
「そいつはいいね。でも、君のところのその悪魔は、それほど悪魔悪魔とはしていないんだろ?」
「ならいいのですが、ところがどっこい、結構、性根が腐っているんですよね~。大家として、ホントに情けない」
「ほ~、大家ね~、・・・ま、大家といえば親も同然、店子(タナコ)といえば子も同然。悪魔とはいえ、大家として、親として、複雑な思いなんだろうな~」
慰めてくれているのだろうけれど、親子関係とまでは、さすがに思ってはおらず、すでに、突き放す覚悟はできている。
「ようするに、愉快犯、そして、金と権力の亡者(モウジャ)ゆえの悪魔の所業、だということです」、と、キッパリと私。
「なるほど、そのためには手段を選ばない、デマでもナンでも流しまくる」
「そうです」、と、さらにキッパリと私。
「僕も同感だ。でも、そうした主犯格が垂れ流すデマに、なんとなく、とか、あるいは、様々な利害にまみれにまみれ、とか、といった、いい加減なことを宣いながら乗っかってくる、悪魔の一歩手前のような共犯者たちも数多くいる、ということもまた、決して忘れるわけにはいかない。言ってみれば、愉快犯と金の亡者とその仲間たち、って感じかな」
その仲間たちか~・・・、B級映画のタイトルみたいだけれど、いま一度、世の中のそこかしこに目を向けてみれば、たしかに、忘れるわけにはいかなそうである。(つづく)