ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.368

はしご酒(4軒目) その百と十九

「チュウトハンパラプソディ」②

 「なんとなく土着的で、ゴチャゴチャっとしたゴッタ煮のような、そんなイメージだな」

 「そのゴチャゴチャっとしたゴッタ煮が、中途半端なんですか」

 「どちらかというと、中途半端なモロモロばかりがゴチャゴチャっとゴッタ煮みたいになっている、と言ったほうが、僕のイメージに近いかも」

 ちょっと憧れてしまうような、そんな生活の中に身を投じたAくんであるだけに、その本人の口から、人生は中途半端なモロモロばかりがゴチャゴチャっと、などと聞かされると、どうしても私は、素直に受け止めることができず、ナンとなく混乱してしまうのである。

 「ナニが、ドコが、中途半端なモロモロなんですか」、と、その混乱を少しでも解消しようと、私。

 ナニかを考えようとする、ナニかをしようとする、ナニかをつくりあげようとする、そのとき、どうしてもそう感じてしまう、とAくん。頭も心も、そして、その腕も、どうしようもなく中途半端だな、と、知らず知らずのうちに思う、らしい。

 Aくんでさえも、そんなふうに自虐的なことを思ったりするんだ、と、少し驚く。

 「でも、モロモロは中途半端であったとしても、ゴッタ煮の面白さは充分にある、とは思っている」、と、いまひとたびスクッと、Aくん。

 なるほど、Aくんが宣うところの中途半端な狂詩曲、中途半端ラプソディ、は、心配しなければならないほど後ろ向きなものなんじゃなくて、それは、それなりにシッカリと前向きな、そんなゴッタ煮のお祭り騒ぎなんだ、ということなのだろう、などと、勝手に思ったりしているうちに、なんだか少し、嬉しくなる。(つづく)