ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.297

はしご酒(4軒目) その四十八

「シミル トイウ カンジ ガ スキ」②

 そして、ご多分にもれず、噂のシワクチャあがりの紙切れを再び取り出して、タラタラリとAくんが書き上げたその漢字は、どこかで見たことがあるような、ないような、思っていた以上にサラリとした見た目の、漢字であったのである。

 「そう、僕が好きな、しみ渡る、の、しみ。数あるしみ系の中で唯一、心、に、目一杯特化した、ハートウォーミングしみ、なんだよね~」

 あまりにも好きすぎて、ナニを言っているのか、ナニを言いたいのか、逆にコチラにまで伝わりにくい、という感は歪めないけれど、あらためてもう一度、そのシワクチャあがりの紙切れの上で佇むその漢字を、ジックリと眺めているうちに、なんとなく、Aくんが惚れたその理由が、わかるような気がしてくる。

 「単に、物理的に、しみる、のではなくて、心、に、しみる、そういう、しみる、ね、わかってもらえるかな~」

 そんなAくんの熱き想いに、ポッと頬を赤らめたような気がした、「シ(サンズイヘン)」に「心」の「沁」、なのである。(つづく)