はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と四十五
「カイチョウアゲアシトリ シツゲンヲ ユク」
お世辞にも好かれているとは言えない怪鳥アゲアシトリ。今日も今日とて、スキあらば、手当たり次第に、言いそこ間違いのその揚げ足を、取って取って取りまくる。ちなみに、この「言いそこ間違い」、「言い損ねる」と「言い間違える」との関西風マリアージュである、らしい。
とにかく、そういった、どこまでもゲスな品性が、好かれない理由だとは思うが、アゲアシトリからしてみれば、ソレを喰らうことで生きながらえてきているわけで、そのあたりの批判なんぞは、大きなお世話以外のナニものでもない、ということになるのだろう。
そんな、この、怪鳥アゲアシトリ、もちろん、命名者は、Aくんである。
「怪鳥アゲアシトリ。これだけ、言いそこ間違いやら、失言やら、暴言やら、が、溢れかえっているわけですから、喰いものに有り付くには、まずコト欠かないでしょうね」、と私。
一瞬、キョトンとした表情を見せたAくん、「ア、アゲアシトリ?」、と。
またまた、忘却の彼方の、様子。
「ほら、揚げ足を取って取って取りまくっている、あの、怪鳥、ア、ゲ、ア、シ、トリ、です」
「は、はいはい、思い出した、思い出しました、アゲアシトリね」
「溢れかえる喰いものを漁(アサ)るために、国会やら、メディアやら、ネットやら、を、あたり構わず好き勝手に飛び回っているみたいですよ」
「ほ~。怪鳥アゲアシトリ、広大なる湿原(シツゲン)をゆく、って感じだな」
ん?、広大なる湿原?
あ、あ~、失言まみれの、シツゲン、湿原、と、きたか~。
「なんか、あの、♪コンドルは飛んで行く、みたいで、カッコいいですね」
するとAくん、ほくそ笑みながら、「だけど、とくに、高カロリーの暴言やら妄言やらが大流行りみたいだから、食べ過ぎて、太り過ぎて、もう、身体が重たくて重たくて飛べなくなってしまうかもな」、と。
(つづく)