ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.281

はしご酒(4軒目) その三十二

「サイカイハツ トイウナノ ジメツ」

 「防災、安全、再開発、経済効果、とくに都会におけるこの種の流れ、僕は、かなり怪しいと思っているんだけれど」、とAくん。

 「うがった見方かもしれませんが、たしかに、防災やら安全やらの名の下(モト)に、皆で寄ってたかって好きなようにしているように、見えなくもないですね」、と私。

 複合商業施設、統合型リゾート、申し訳ないけれど、お金の臭いしかしない。

 「もういいだろ、というぐらい、同じような都市づくり、に、いい加減ウンザリとする」、とAくん。

 「お金の臭いばかりで、人の臭いが感じられないですよね」、と私。 

 店員さんやらお客さんやら外国から来られた観光客やら、数多くのなんやらかんやらは、ソコにいるのだろうけれど、なぜ人の臭いがしてこないのだろう。

 「ひょっとしたら、その街が好きで、その街を愛して、ソコでリアルに必死にもがいて、蠢(ウゴメ)いて、そして生きているんだ僕たちは、私たちは、という感じが、全くしない、からなのかもしれないな、よくわからないけれど」、とAくん。

 なるほど、だから、無臭都市なのか~、などと、なんとなく、わかったような気になる。

 「どこまでも怪しい都市型再開発は、実は、再開発という名の自滅。やがて、都市そのものの自滅、を、もたらすかも」、と、かなり怖い予言めいた捨てゼリフを残して、Aくんは、先ほど注文した米焼酎を、ほんの少しグビリとやる。(つづく)