ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.272

はしご酒(4軒目) その二十三

「シンガタレッカーマン タンジョウ!」②

 とても贅沢なものをいただいているような、そんな気分で、ほんの少し口に含む。

 そのキレのあるプチプチ感に、おもわず「爽やかですね~」、と私。

 「以前から気になっていた奈良のお酒で、やっと手に入ったの」、と満足げに語る女将さんのそのふくよかな表情に癒される。

 癒されつつもう一口、というまさにそのとき、ようやくAくんが沈黙を破る。

 「妖怪レッカノモトは、そこかしこにおるからな~」

 「妖怪、劣化の素ですか」

 「そう、なにかの弾みでできてしまった小さな傷口やら弱味やら邪念やらナンやらカンやらに、パラパラっと劣化の素を振り撒いて、ジワリジワリと一人前のレッカーマンに育て上げる」

 あの手この手を駆使して人を劣化せしめる「妖怪レッカノモト」の所業、なんともおぞましい。

 ただ、私が気になり始めた「最たる要因」は謎のままで、そこのところを、もう一押し、遠慮しながらも問うてみる。

 「その中で、とくに、となると・・・」

(つづく)