ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.620

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六十一

「ヨウカイ カンミンズブズブ」

 「官と民がズブズブ!」

 カンとミンがズブズブ。

 カンミンズブズブ、カンミンズブズブ、か~。

 Aくんの口から、突然、飛び出てきたこの過激な一言が、その粘着力の凄まじさも手伝って、私の耳の鼓膜あたりに思いっ切りへばり付く。

 「官と民がズブズブのその罪の深さは、単に、両者が甘い汁を吸い合うということだけにトドまらないところにあるんだよな」

 ん~、あらたなる罪深い副反応でも引き起こすのだろうか。

 「必ずと言っていいほど両者もろとも劣化する、ということだ」

 おっ。

 まさにソレって、今宵、二度目の登場となる、あの、時代劇のダークヒーロー、悪代官と越後屋、だな。と、不謹慎ながら妙にワクワクしつつ納得してしまう、私。

 「甘い汁に魂を奪われているうちに、真っ当な力の発揮ドコロを見失い、闇の世界に身を投じる」

 なんだか、オドロオドロしい話になってきた。

 「かなりオドロオドロしい、ですね」、と私。

 「そりゃそうだ。妖怪カンミンズブズブは、そのオドロオドロしさにおいて、政界及び経済界関連の妖怪たちの中で図抜けているからな。コイツたちは、面妖に臭い立つ甘い汁を撒き散らしながら、官と民から、真実の、正義や愛やヤル気や向上心といったモノを、見事なまでに根こそぎ毟(ムシ)り取る」

 図抜けたオドロオドロしさを秘めた、この、政界及び経済界関連のトップランナー的妖怪とはいったい・・・。

 少なくとも、食生活関連のあの妖怪オコメバナレとはまた別の、実に厄介な手強さを秘めている、というコトだけは間違いなさそうだ。(つづく)