はしご酒(3軒目) その七十四
「アイシュウ ノ アホガアホヨブアホアホワールド」
たまたまZ’さんが、学校の先生であったことが、私の中のそのスイッチを押させたのかもしれない。あのAくんが命名した、屈指の旨味と切れ味を誇る「アホガアホヨブアホアホワールド」、が、いまここに、再び降臨する。
このワールド、個性的な住人たちの力も借りて、他の追随を許さない、絶大な存在感を有している。
私は、そんな、このワールドの最大の弱点ともいえる特徴は、アホゆえに、アホの所業の連鎖を、どうあがいても断ち切れない、というところにある、と思い続けてきた。
だがしかし、それは、なにやら少し違うのではないか、という思いが、まさに、突然、いま、ここで、ブワッと膨らむ。
Aくんが、このワールドに込めた思いが、真意が、ようやくわかったような、そんな気がするのだ。
おそらく、アホだから断ち切れない、などという、そんな単純なものなのではなく、アホでなければ断ち切れないままではおれない、アホでなければやってられない、という、そこにこそ、このワールドの全てがあるのだろう。
この面妖な社会に身を投じた、とびっきりエライ権力者とまではいかない、ちょっと中途半端なシモジモじゃないピーポーたち、いわゆる管理職などと呼ばれている者たちの悲哀を、アホガアホヨブアホアホワールドは、切実に、痛烈に、私たちに投げかけ、語りかけて、くれているのである。
哀愁のアホガアホヨブアホアホワールド。
このワールドもまた、トコトン奥が深すぎるぐらい深い。(つづく)