はしご酒(3軒目) その七十三
「ガンガン イエル!?」
「誰が出したアイデアでも、そのアイデアに対して、誰でもが意見をガンガン言える。そして、さらにいいものがガンガン出来上がっていく。という雰囲気が、理想的なんだよね」、とZ’さん。もう、スッカリ、Z’さんらしい力強さが復活している。
「いいですね、その感じ」、と私。
「実は、あるバンドの、あるライブ直前の、あるメンバーの、呟きの、その受け売りなんだけどね」
受け売りでもナンでも、いいモノは、いい。
「この雰囲気が、学校という組織においても大切なんだ」
その雰囲気なら、その感じなら、学校という組織、のみならず、ウチの会社も、どんな会社も、組織も、皆、きっと大丈夫。そんな気がする。
「ところがだ」
うわ。
「にもかかわらず、残念ながら、現実は、そうではなくて」
やっぱり。
「『トップダウンによる硬直化』的なムードが、心ある先生たちをドップリと疲弊せしめている」
ん~。
現実は、理想とは真逆、ということか。
「現場は、目一杯、疲れている」
ボソリとZ’さんの口から漏れた一言に、いつもの私なら、「どの業界でも一緒ですよ。学校の先生だけが疲れている、ということはないと思います」などと、口には出さないまでも、思ってしまうところだけれど、ナゼか、そんな思いは、微塵も、湧き上がってこなかった。
おそらく。
子どもたちとの関わりの中での疲れ、ではないのだろう。
そんな疲れなら、Z’さんも愚痴ったりしない。そうではなくて、子どもたちから離れたトコロでグチュグチュと湧き出て吹き溜まる疲れなのだ、きっと。
だから。
疲れそのものが想像以上に、異常に、重いのである。
それゆえ。
現場は疲れるのだ。
Z’さんのその一言から、その重みが、その重みの臭気が、地面を這うようにズルズルと漂よってくる。(つづく)