ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.244

はしご酒(3軒目) その七十三

「ガンガン イエル!?」

 「誰が出したアイデアでも、そのアイデアに対して、誰でもが意見をガンガン言える、そして、さらにいいものがガンガン出来上がっていく、そんな雰囲気が理想的なんだよね~」、と、それなりに力強く語り出したZ’さん。

 実は、あるバンドの、あるライブ直前の、あるメンバーの、呟きの、その受け売りらしい。

 この雰囲気が、学校という組織においても大切なんだ、と付け加える。

 にもかかわらず、残念ながら、現実は、どうもそうではないらしい。「トップダウンによる硬直化」的な現場のムードが、心ある先生たちを、ドップリと疲弊せしめている、ということなのだろうか。

 「現場は、ホントに疲れている」

 ボソリとZ’さんの口から漏れた一言に、いつもの私なら、「どの業界でも一緒ですよ、学校の先生だけが疲れている、というのは、どうなんだろう」、などと宣ってしまう(宣わないまでも、思ってしまう)ところだけれど、そのとき、なぜか、そんな言葉は、微塵も湧いて来なかった。

 子どもたちとのかかわりの中での疲れなのではなく、子どもたちから離れたところでグチュグチュと湧き出て吹き溜まるその疲れは、想像以上に重く、それゆえに、現場は疲れるのだろう、きっと、などと、あれこれ思う。

 Z’さんの言葉の裏側から、その重みが、その重みの臭気が、地面を這うように漂よってくる。(つづく)