はしご酒(3軒目) その四十一
「フリマワサレテハ」③
シモジモであるエラクナイけれどガンバる一般ピーポーたちが、国境やらなんやらを越えに越えて、交流し、協力し、助け合い、そして、信頼関係をコツコツと築き上げていくことに尽力されているにもかかわらず、そうした努力を、いとも簡単に無にするかのような、巨大な権力の所業を、幾度も、この星のそこかしこで見るにつけ、私は、一層そう思うようになったのである。
なぜ、いとも簡単に、そんな理不尽に、この世の中を振り回すことができるのだろう。なぜ、理不尽に振り回され、見も心も打ちのめされながらも頑張る一般ピーポーたちのその思いを、感じ取ろうとしないのだろう。
そんなダークな気分になりかけた私の心の中のブツブツを、マスターのスペシャリテであるマティーニが、少しずつ清めてくれながら静かに落ちていく。(つづく)