はしご酒(2軒目) その六十五
「チキュウ ノ キキ ヨリ ワガヤ ノ カケイ」
信じられないほどの暑い日が続くたびに、地球の危機がジリジリと迫りつつあるのではないか、と、結構マジに思ったりする。
いつだったか、以前、ある大学の先生が、こんなコトを宣っていた。
「人類の危機は、近々やってくるかもしれないが、地球の危機は、まだまだ100億年近くは、ありません。人類が滅亡したあと、地球は、コツコツと時間をかけて、元の美しい星に再生します。ですから、ご安心を」
なるほど、そう言われればそうだな、と、妙に納得し、安心したことを、今でも覚えている。
ただし、その話には続きがあったのである
「核、核兵器、コレだけはダメ。コレは、地球が再生できないほど徹底的に痛めつけ、息の根を止める。地球に住まわせてもらっている人類が、その地球の息の根を止めてしまうような『悪魔』をつくり出してしまったコトの、その罪の深さを、重く受け止めなければならない」
あれから随分と時間が経過したけれど、「核廃絶」なんてどこ吹く風、世界のそこかしこで核のオンパレードだ。
そんな私の「地球と核」噺に、静かに耳を傾けていたOくん、徐(オモムロ)にユルリと、吐き捨てるようにトドメを刺す。
「背に腹は代えられぬ。地球の危機より我が家の家計、やっちゅうことなんやろな」
ふ~。
相も変わらず、世界中は、「背に腹は代えられぬ」まみれ、か~、・・・。
(つづく)