ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.163

はしご酒(2軒目) その六十五

「チキュウ ノ キキ ヨリ ワガヤ ノ カケイ」

 信じられないほどの暑い日が続くたびに、地球の危機がジリジリと迫りつつあるのではないか、と、結構マジに思ったりする。

 いつだったか、以前、ある大学の先生が、こんなコトを宣っていた。

 「人類の危機は、近々やってくるかもしれないが、地球の危機は、まだまだ100億年近くは、ありません。人類が滅亡したあと、地球は、コツコツと時間をかけて、元の美しい星に再生します。ですから、ご安心を」

 なるほど、そう言われればそうだな、と、妙に納得し、安心したことを、今でも覚えている。

 ただし、その話には続きがあったのである

 「核、核兵器、コレだけはダメ。コレは、地球が再生できないほど徹底的に痛めつけ、息の根を止める。地球に住まわせてもらっている人類が、その地球の息の根を止めてしまうような『悪魔』をつくり出してしまったコトの、その罪の深さを、重く受け止めなければならない」

 あれから随分と時間が経過したけれど、「核廃絶」なんてどこ吹く風、世界のそこかしこで核のオンパレードだ。

 そんな私の「地球と核」噺に、静かに耳を傾けていたOくん、徐(オモムロ)にユルリと、吐き捨てるようにトドメを刺す。

 「背に腹は代えられぬ。地球の危機より我が家の家計、やっちゅうことなんやろな」

 ふ~。

 相も変わらず、世界中は、「背に腹は代えられぬ」まみれ、か~、・・・。

(つづく)