ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.419

はしご酒(4軒目) その百と七十

「ジンルイノキキ ハ コノホシノキキ トハ カギラナイ」②

 「そもそも人類の危機、って、なんなのですか」、と私。

 「なんなのですか、か~・・・、あらためて問われたりすると、たしかに、ナゾめいてくるよな」、とAくん。

 「その大学の先生も話されていたように、幸い、この星は、そんなにヤワじゃない、わけで、そのヤワじゃないこの星に住ませてもらっている人類のほうだけが、なぜ、危機に陥る、なんてことが起こりうるのか、やっぱり、ナゾめいている」

 「でもな~、その、ヤワじゃない、この星であるにもかかわらず、当時、最強と言われていたティラノザウルスは、忽然と姿を消したみたいだし、じゃ、小回りがきく小さな虫ならば、と思っていたら、幼少の頃に、よく見かけた、ゲンゴロウやらタガメやらも、ジワリジワリと姿を見せなくなってきているらしい、などということを、あちらこちらで耳にしたりしていると、科学の力で乗り切ろうともがく人類が、いくら頑張ってみたところで結局は、もがききれずに、いつの日か・・・、あるかもしれんぞ」

 なんだか背骨の中央あたりがゾワゾワとしてくる。そして、そのゾワゾワに、Aくんはダメを押す。

 「人類だけが絶滅しない、と考えること自体、人類の驕(オゴ)り高ぶり。つまり、人類の危機は、人類が絶滅するその前に、君らにはもう任せてはおれん、と、しびれを切らせた神やら仏やらによって打ち鳴らされた、愛の警鐘だな。このところ、そこかしこで、コレかな、コレが警鐘かな、と感じるコトが、やたらとあるだけに、そのたびに、そんなコトを思ったりするわけよ、僕は」

 Aくんの、そのダメ押しに聞き入っているうちに、全くもって関係はないのだろうけれど、なぜかもう一度、高田渡の ♪自転車にのって、を、聴きながら、どこまでも、どこまでも、どこまでも、あの、ももいろ号で行(ユ)きたくなる。(つづく)