ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1117

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と四十八

「フード ハ フウド」

 「その土地で食べる、呑む。だから、なんか旨い、旨いんだよな~」

 ん?

 「テロワールだな、テロワール

 「テ、テロワール、ですか」

 「そう、空気が、水が、土が、人が、その土地のフードをつくる」 

 「だから、その土地で食べる、呑む、美味い。つまり、ホップ、ステップ、ジャンプ。みたいなコトに」

 「なる、なりまくる」

 Aくんの、そんな、「フードは、やっぱりテロワール」理論に耳を傾けているうちに、この頃ほとんど耳にしなくなった「地方創生」という言葉が頭をよぎる。すでに、もう、あの人たちにとって、地方は、「選挙の地」以外のナニモノでもないのかもしれない。だから、選挙に、票の獲得に、有利になるようなコトにしか興味を示さない。真剣に、地方の未来を考えようなんて、まず、しない。と、しか、どうしても思えないのである。

 「僕はね、大都会に、大都会のために、地方という地方からフードというフードを掻き集めるコト自体、引っ掛かりまくっている」

 「フードの中央集権化、ですよね」

 「そう、そういうこと。すでに、人間が先行して中央に集中してしまっているわけだから、当然のごとく、そんな人間たちを追いかけてフードも中央に集中するのもまた致し方がない、と、いうコトになるのだろうけれど、長い目で見てみろよ、良くないだろ、そんなの」

 良くない。

 ますます地方が萎む。

 「フードは風土。風の土ね。風土まで大都会に持ってはこれないだろ。ナンでもカンでも中央集権化。真ん中に集めりゃソレでいいってもんじゃ、ない。と、いうことだ」

 フードは風土、か~。

 「だから、だからこそ、あえて、あえてもう一度言わせてもらおう。その土地で食べる、呑む。だから、なんか旨いんだ!」

(つづく)