ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.801

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と三十二

「ケツゼイドロボウ」

 なぜ、国民が関心のないコトに関心をもたなければならないのだ。

 ある、政治関係者の口からポロリと溢れ落ちた言葉である。国民のニーズに応えることが政治関係者の使命とするなら、たしかに、真っ当な御意見のように聞こえなくもない。

 しかしながら、本当に、国民が関心のないコトは、そのまま捨て置いていいのだろうか。

 ひょっとすると、政治関係者が関心を示す「国民が関心のあるコト」とは、「票に直結するコト」と、同義語なのかもしれない。つまり、国民とは、「票」そのものということか。なぜか、そう考えるようにするだけで、ヤヤこしいナニもカもが、一気に理解し易くなる。

 「票」に関心がある政治関係者が、「票」に結び付く国民の関心事(ジ)に心血を注ぐ。きっと、そういうコトなのだろう。

 私は、この国の、この星の、様々なコトがココまでグズグズと煮詰まってきたその主たる原因の一つは、間違いなくソコにあるに違いない、と、思い始めているのである。

 そんなふうにブツブツと、好き勝手なる戯言(タワゴト)を独り言ちていると、にわかに、Aくん、スルリと乱入してくる。

 「とはいえ、とはいえだ、日々の生活に追われた国民が、未来に目を向け、未来のために、今、ナニをなすべきか、などと考えられるとは、残念ながら、到底、思えないんだよな」

 Aくんの指摘通り、そう易々と、未来のことなど考えられるとは思えない。

 「だから、だからこそ、だからこそだ、未来に向けて、未来のために、政治のプロを、プロフェッショナルを、多額の血税を投入して雇っている、ってことなんだと思う」

 未来のために、プロフェッショナルを雇っている、か~。

 「にもかかわらず、にもかかわらずだ、そのプロたちが、未来から目を逸らし、どうしても目先のコトに目が行きがちな一般ピーポーの関心事ばかりに目を向けているとなると、もう、『血税泥棒』と言うしかないな、申し訳ないけど」

 け、血税泥棒?

 なるほど、血税泥棒、血税泥棒、か~。

 こういうのを「言い当てて妙」と言うのだろうな。(つづく)