ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.744

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と八十五

「カチウマニ ノル」

 勝ち馬に乗る、と、勝ち馬になる、では、意味もナニもカも違ってくる、とAくん。

 勝ち馬に乗る、か~。

 「勝ち馬に乗る、に、あまりいいイメージはないですね」、と私。

 「たとえば、どんなイメージだい?」

 「たとえば・・・、ずるい、せこい、こすい、みみっちい」

 「おお~っ、並べたね~」

 「結果として勝ち馬に乗ることになった、ということはあるかもしれませんが、勝ち馬に乗ることそのものを、そのまま目的にするなんてことは、どう考えても、ずるい、せこい、こすい、みみっちい、でしょ」

 「ま、仕方がない場合もあるとは思うんだよね。法的にも人道的にもさしたる問題がないのなら、商売上、勝ち馬に乗る、もまた良し、じゃないかと」

 Aくんにしては、珍しく、好意的なもの言いだ。

 「でもね、政治に関わる者たちが、己の信条や理念を蔑(ナイガシ)ろにしてまで勝ち馬に乗る、などということを、平気な顔をして宣い出したとしたら、それは、ちょっと厄介だな」

 「ちょっとどころじゃないでしょう。目一杯、厄介です」

 「そうだな、目一杯、厄介だ。そもそもだ、そんな連中は、最初から、大した信条や理念など、もち合わせていないのかもしれないしな」

 あ~、なるほど、そう考えれば、「勝ち馬に乗る」系が世に憚(ハバカ)るその理由も理解しやすい。

 「それでもやっぱり、その信条や理念の方向性に清き一票を投じたい投じたくない、は、この際、ちょっと横に置いておくことにして、とにかく、政治に関わる者たちには、勝ち馬に乗る、ではなくて、シッカリとした己の信条や理念をもち、ソレを蔑ろにすることなく、精進、邁進して、勝ち馬になる、ぐらいの気概を、もってもらいたいよな~」

(つづく)