はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と八十三
「ディアブル ディアボロス アクマ ノ ショギョウ」
「ある人のあるブログの」
「ブ、ブログ、ですか」
Aくんとブログ、意外だ。
「むしろ、ブログだろ。我々の世代は」
ブログの世代?
ん~、ブログの世代、か~。
考えてみると、ブログは、テーマが明確な一つのプチ論文として、それなりに成立している。少なくとも短文で勝負の若い世代よりは長文に接してきたであろう、と、思われる世代なだけに、おっしゃる通り、Aくんたちの世代は、「むしろ、ブログだろ。」なのかも。
「でだ。そのブログの内容が、実に興味深かったわけ。ソレが、ディアブル!」
「ディ、ディアブル、ですか」
「そう、ディアブル」
んっ?、あっ!
「たしか、ディアボロス、悪魔のナンチャラって映画、ありましたよね。アレって、そのディアブルの親戚筋かナニかですか」
「おおっ!、ディアボロス。キアヌ・リーヴスにアル・パチーノが絡むヤツだったよな」
「そうです。キアヌ・リーヴス、結構、好きなんです」
「キアヌな~。雲の上で散歩、って映画、の、あの、キアヌは、なんか良かったな」
「はいはいはいはい、雲の上で。観ました観ました、少なくとも3回は観ています」
「ん~、キアヌで、おもわず、ナンの話だったかなんて、もう、どうでもよくなってしまいかけているけど、ココは、無理やり、話を元に戻させてもらっていいかい」
「すみません。戻してください」
「そのディアボロス。まさに、ソレ、ソレなんだよ」
「やっぱり、キアヌ・リーヴスが絡んで」
「こない。全く、こない。絡んでくるのは、キアヌではなくて、ディアボロス。そのディアボロス、先ほどのディアブルと濃厚な親子関係にある」
濃厚な、親子関係!?
なんとなく似ているとは思ったが、似ているだけじゃ、なかったんだ。
「と、いうことは、ディアブルも、悪魔系の」
「と、いうこと。あの『デビルマン』のdevil(デビル)もdiable(ディアブル) も、そのdiabolos(ディアボロス)の、直系の悪魔の子どもたち、と、いうわけだ」
ナニを思ったか、Aくん、なんだか、妙に、発音がいい。これみよがしに、ソコまでネイティブに発音しなくても。
「ま、」
わっ。
私の心の声が聞こえてしまったか。
「ま、ようするに、デビルやらディアブルやらの語源が」
よ、良かった。聞こえたわけではなさそうだ。
「ギリシャ語のディアボロスだということ。でだ。そのディアボロスの本来の意味が、実に興味深いわけよ」
ディアボロスの本来の、意味?
「ソレが、そのブログによれば、『分断するもの』、らしいんだよね」
「分断するもの、ですか」
「悪魔の所業、ソレは、まさに、ピーポーたちを分断させること。分断させることで、血の雨を降らせる。この国のみならず、この星のそこかしこを見渡してごらんよ。分断と血の雨まみれだとは思わないかい」
分断と、血の雨、まみれか~。
たしかに、たしかに分断と血の雨まみれだ。
ギリシャのピーポーたちは、太古から、分断が、血の雨を降らせる悪魔の所業だというコトを、見抜いていたということか。
(つづく)