強肴 その四
「ニンゲントシテ イチバントウトイモノ ハ トクデアル」(松下幸之助)
次から次へと惜しげもなく、悪しき話題をお茶の間に提供してくれる政治やら行政やらのシモジモじゃないエースたち。ココまでくると、ひょっとしたら、より大きな悪行から我々一般ピーポーの目を逸らすための、あの人たちによる姑息なウルトラCなのではないか、と、勘ぐってしまうほどである。もちろん、そのような勘ぐりは的外れだと信じたいが。
志(ココロザシ)が高くなければ、人は「徳」から「得」へと舵を切る。
我々は、本来、「俗」なもの。油断をすれば、血の池地獄ならぬ「得池地獄」に、いとも簡単に身を投じる。悲しいかな、ソコに身を投じたエース中のエースたちを幾度となくTV画面などで見るにつけ、その思いはより強固なものとなっている。
「徳を高めず得を高める、徳を積まずに得を積む」
コレは、あの、松下幸之助が、己の名言である「人間として一番尊いものは徳である」に込めた熱く清き思いも、現代社会においては無力である、というコトを示した、Aくんの、逆説的なプチ名言である。それほどこの世の中は、「徳」から「得」へと移行しつつあるということを、Aくんは、訴えたいのだろう。
徳を高めず得を高める、徳を積まずに得を積む。
なんとも情けなくなってくるプチ名言なれど、コレもまた、今宵のひとり酒には、ソレなりに、味わい深い肴ではある。(つづく)