ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.495

はしご酒(4軒目) その百と百と三十六

「フトクテ ホソクテナガイ オツキアイ」

 細くて長いお付き合い、こそが、太いのだ、と、唐突に、意味不明に、語り出すAくん。

 「細くて太いのですか」

 「そう。細くて長い、という、そのスタンスが、太い、と、言ったほうが、わかりやすいかもしれないな」

 全く、わかりやすくない。

 「わからない、といった顔つきだな」

 「そんなこと、・・・ちょっとだけ、わかりにくいかも」

 「つまり、三輪やら、小豆島やら、島原やら、の、あの、そうめん、だな。とくに、三輪の超極細麺、白龍、アレは凄まじい。そんな究極のジャパニーズアルデンテ、そうめん、にしても、ソコに、柔軟性がなければ、粘り腰がなければ、細くて長く、なんてことは、あり得ない、ということだ」

 ということだ、なんて言われても、どういうことだ、と、もう一度、問い返したくもなるけれど、その、柔軟性がなければ、というところだけは、なんとなく理解できるような気がする。

 見ための太さよりも、そのスタンスの太さ、こそが、ホンモノの太さ、なのだということを、Aくんは、言わんとしているのだろうけれど、やはり、わかりにくい。

 おそらく、ナニかがあったのだとは思うが、Aくんが、ナゼ、こんな話をし始めたのか、も、正直なところ、わからない。ただ、わからないけれど、伝わってくるものはある。

 太くて、細くて長いお付き合い。

 最初は、違和感しかなかったけれど、不思議にだんだんと、私の心に馴染んでくる。(つづく)

 

 

 

 

追記

 「満月ポン」のように、全くもって全国区ではないけれど、地方には、その地で、圧倒的な人気で支えられたスグレモノ、というものがあったりする。私は、ソレらを「ローカルメジャー」と呼んでいる。そんなローカルメジャー、や、どこまでも控えめなローカルマイナー、を、求めて人は、旅人になるのかもしれないな~。