ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.435

はしご酒(4軒目) その百と七十六

「アドベンチャー ノ ススメ」②

 そんな当時の、随分とアドベンチャーな日々の中で、とくにワイルドであったのが、近所に住む従兄弟たちとの共同企画、「蛇退治」である。

 長い棒の先に数本の釘を装着し、一撃必殺の武器を、製作。

 魂を鼓舞するために、オリジナルの「蛇退治の唄」を歌いつつ、敢行。

 プスリプスリと鬱蒼(ウッソウ)と茂る草むらを突き刺しながら、進撃。

 なんと、予想に反して、蛇が、その棒に巻きついて登ってきたものだから、武器を投げ捨てて、逃走。

 そして、しこたま走ったあと、「手応えはあったよな」などと、従兄弟たちと、強がる。

 語り草となった、ぜんぜんワイルドじゃない幼き少年たちの、ある暑い夏の日のアドベンチャー物語である。

 その後すぐに、私の冒険心は、蛇退治から鉱石採掘に移行する。

 休日は、朝から、スコップやトンカチや図鑑などを持って、採掘アドベンチャーに赴く。当時は、アチらコチらで大規模な工事をしていたので、そこかしこに岩石やら石やらが転がっていた。それゆえ、身近なところで、容易に、鉱石採掘が可能で、純粋無垢な採掘少年にとって、実に恵まれた良き時代であった、と、言えるかもしれない。

 そんなある日、妙に私を惹き付ける、やや緑がかった大きめの石が、ド~ンと目に、飛び込んでくる。(つづく)