はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と五
「ゼット モ ゼットン モ」
「十把一絡(ジッパヒトカラ)げ!」
ん?
「先ほども話題に上(ノボ)っていたけれど、ちょっと視点を変えてみようと思う」、とAくん。
ちょっと視点を、変えてみる?
「個を見ずして全体を、十把一絡げにしてしまうことの罪の深さについて、熱く語らせてもらったけれど、その逆側に目を向けてみると」
逆側に?
「なぜ、『個』が、十把一絡げに語られてしまうのか。語られてしまう側に、いったいナニが起こっているのか」
十把一絡げに語られてしまう「個」にナニが、とは。
「たとえば、この頃話題のZ(ゼット)世代、Zジェネレーション」
ゼットジェネレーション?
「な、なんですか、ソレ」
「メチャクチャ簡単に言わせてもらうと、生まれた時から手元にスマホがあった、世代、らしい」
「生まれた時からスマホ、ですか」
「そう。たかがスマホと侮ることなかれ、ということだ」
「そういえば、スマホの生みの親みたいなオヤジさんが、そんなモノ、自分の子どもにはもたせない、家の中にも置いていない、みたいなことを、あたかも他人事のように無責任に、宣っておられたような」
「それほどスマホには、とくに子どもたちにとって、未知なる危険性が孕(ハラ)んでいるということなんだろうな」
未知なる危険性、か~。
「そして、その危険性らしき兆候が、すでにジワジワとチラチラと見え始めているような気がするだけに、呑気に、Z世代はどうだこうだ、などと、評している場合じゃないだろ、と、思えてならないんだよね」
「スマホがもたらしつつある疾病なのかもしれない、ということですか」
「そう、疾病なのかもしれない。このZ世代、ベビーブーム世代やX(エックス)世代といった他のカテゴリー系のモノとは、あきらかにナニかが違う」
なぜか、突然、ブワッと頭の中に現れた宇宙恐竜ゼットン。
最終回、なんと、ゼットンは、あの無敵のヒーロー、ウルトラマンに、引導を渡したのである。
つまり、つまりだ。ゼットもゼットンも、侮るとトンでもないことになる、ということなのだろう。(つづく)