ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1469

はしご酒(Aくんのアトリエ) その九百

「コウツゴウナ モダンヘリテージ?」

 「伝統!」

 で、でんとう!?

 「できうる限り『identity(アイデンティティ)』にはトコトン拘(コダワ)り続けたいと思っている僕だけに、個々の、その、roots(ルーツ)、time - honored(タイムオナードゥ)なtradition(トラディション)、と、いったモノに対して、『Eat shit(イートシット)!』、『そんなもんクソ喰らえ!』、などとは、思わないけれど」

 と、意図的に某都知事のモノマネでもしているのか、ヤタラと横文字を絡ませつつ語り始めた、Aくん。もちろん、ナンのことやらサッパリ。

 「今、問われているのは、preserve(プリザーブ)していくために、どう、modern heritage(モダンヘリテッジ)していくか、だと」

 さらにサッパリ。

 「思いはするけれど、申し訳ないが、あの人たちが『伝統』なんて言葉をもち出し始めたら、要注意。と、僕は、結構マジに思っている」

 伝統、を、もち出したら、要注意?

 というか、その前に、ナゼ、アイデンティティと伝統とが繋がるのか。も、また、サッパリ。ルーツやら伝統やら固定概念やら「こうあらねばならない」やらによって、ドレほど、個が個であるためのアイデンティティが脅かされてきたか。Aくんならわかりそうなものなのに、どうした、どうしたAくん・・・

 「君は、どう思う?」

 ・・・どうし、た、どう、ど、どう思う!?

 不覚にも不意を突かれ、困惑も、怯(ヒル)みも、してしまいつつも、ドウにかコウにか中古の脳内コンピューターを一気にフル稼働する。

 ピッピッ、ピー、カタ、カタカタ、ピッポッパッポッパ~・・・

 「なんとなく」

 「おっ」

 「思っているコトなのですが」

 「お、おっ」

 「『守る』と『壊す』のその境界線の基準みたいなものが、私には全く見えないのです」

 「お~、いいトコ突いてくるね~」

 いいトコ突いて、などと言われたものだから、調子に乗って、思い付いたコトを、そのまま、さらに。

 「ただ、あの人たちにとって都合よく、その二つを、守ると破壊を、使い分けているだけのような気がして」

 「都合よく使い分け、ね~。多分、いや、きっと、そうだ。好都合なmodern heritage 。間違いない。あの人たちにとっては好都合でも、我々にとってはコイツほど不気味なモノはねえからな 」

 そう。不気味なモダンヘリテージ。

 あの人たちがエラそうに宣う改革やら変革やら「規制緩和」やら「ブッ壊す」やら、系の、モダンヘリテージ によって、ドレほど私たちは振り回されてきたか。

 「と、マジに、私も思います。ナニがナンでも自分たちにとって都合のいいモノは守り、都合が悪いモノは、ブッ壊す。その手口。不気味、というか、不愉快。そう、不愉快なんですよね、不、愉、快」

 「いい、いいね~、その、『不、愉、快』。もちろん、お互い、酒がいい感じに五臓六腑に沁み渡ってきたってこともあるんだろうけれど、君を君足らしめる、君の、君だけの identity 、が、ソコにギュッと、って、感じで」

 ナニを誉められているのか、サッパリ、わらないけれど、でも、ナンだか嬉しい。

 「ナンにしても、その手の不気味と不愉快の中で、ズルズルと、取り返しがつかない、レベルの、大事なモノが、コトが、次から次に、消えて、失われて、いくのだろうよ」

(つづく)