はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と六十三
「コトガ ウマクハコンダラ ヨリヲ モドソウカシラン」
「ナニかにつけて納得できない姑(シュウトメ)に、意を決して私の切なる思いを熱く語らせてもらったものの受け入れられず、決別。結局、そんなトンでもない姑に全く頭が上がらない旦那さんとは、不本意ながら、離縁」、と、タラタラと語り始めた、Aくん。
もちろん、なんのコトやら、サッパリ。
「けれど、ソレでも尚、腹の虫が治まらず、あまり好きではない男だけれど、従順だしソレなりに力も金(カネ)ももっている、ということで、全夫(ゼンプ)にこれみよがしに仲の良いところを見せ付けてやったりしたわけ」
いったい、ダレの、ナンの、話なのだろう。
「もちろん、私が新しい彼に合わすなんてことはないわ。私は私を曲げない。あくまでも曲げるのは彼。そんなの当たり前でしょ」
なんか、怖いな。
「で、ダメ元で、彼に、裏から手を回してあのババアをあの家から追い出してよ、って、冗談っぽく言ってみたら、ニコッと笑って『いいよ』って」
スリラー映画かヤクザ映画かナニかか。
「さすが私が見込んだ男だけのことはあるわ。コトが上手く運んだら、新しい彼の力と金、だけを、手土産にして、前夫と縒(ヨ)りを戻そうかしらん、ウフッ、ウフフッ、ウフフフフッ」
うっわ~、マジ、怖い、怖すぎる、その女性。
「みたいな、そんな付け毛の、エクステの、チャンスの前髪、でも、君はその前髪を掴もうとするかい?」
そ、そんな怖い前髪、微塵も掴もうとは思わない。
ん?
ん、んあ、あ~。
ま、まさかとは思うが、あの、「ソレはソレ、コレはコレ、ココは仲良く手を取り合って参ろうぞ」のその真相が、実は、万が一にもそんなコトであるとするなら、もう、その、上手い具合に利用されるだけ利用された新しい彼、一生、浮かばれないだろうな。(つづく)