ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1422

 はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と五十三

「カンジョウブンセキ ツール?」

 自慢じゃないが、私は、AI(エーアイ)に対してかなりのアレルギーがある。コトと次第によっては嫌悪どころか致命的な危機感を抱きさえしている。

 のだけれど、何度も何度もイヤになってくるほどモヤモヤッとした政治関係者たちの答弁やら会見やらを聞かされているうちに、もう、いい加減、巷で話題の、例の、あの、感情分析ツールってヤツを導入してみてもいいのではないか、と、不本意ながら、思ったりしているのもまた、事実。

 「感情分析ツール、ご存知ですか」

 「なんだよ、それ」

 私同様、Aくんも、この手のツールが苦手だ。

 「感情分析、AIです」

 「知らねえな」

 さすがに素っ気ない。

 「とくに音声解析に力を発揮する、らしい、感情解析API(エーピーアイ)。に、期待するしかないのかな、って」

 「エーピーアイに期待?。そんな得体の知れないモノに、いったい、ナニを、期待するというんだ」

 うわっ。

 素っ気なさに、ちょっとした怒りまで加わり出したか。

 「た、たとえば、テレビでの国会中継やら記者会見やらの際にポチッと付属のボタンを押すと、あの人たちの心の内側を『見える化』してくれる、みたいな」

 珍しく、ナゼか怯まない、私。

 「なんか、『デバガメ』、っぽいな」

 「デ、デ、デバガメ!?」

 「覗き見の常習犯、池田亀太郎。たしか殺人もヤらかしていたはず」

 池田亀太郎、デバガメ。殺人も、か~。

 「デバガメとまでは言わないまでも、なんだか、まるで覗き行為のようで、趣味がいいとは言えねえな」

 覗き行為のよう・・・ん、ん~、たしかに趣味がいいとは言えないか。

 「でも、真偽のほどは定かでないし、ソコに誠意が、公正さが、あるのかないのかもよくわからないし、と、なると、あの人たちの発言のその内側を覗き見してみたくなるのもまた、有権者たちの当然の心理ではないかと」

 「思うわけだ、君は。ま、『ホントのところはどうなんだ』って、聞きたくても、そう簡単には聞けないだろうし、聞いてみたところで、ホントのところなんて言ってはくれないだろうし、な」

 「だから、不本意ながらも、ココは、感情解析APIに、と」

 「思うのも無理ねえか」

 おっ、やった。 

 どうにかこうにか、一応、納得してはくれたようだ。

 そう、本当のところはどうなんだ。の、その、本当のところ、が、知りたい。

 つまり、つまりだ。本当のところ、ソコに、怒りは、悲しみは、喜びは、誠意は、公正さは、あるのか。ないのか。が、わかれば、「耳障(ザワ)りのいい虚言に釣られて、つい」も、「不安を煽る戯言に釣られて、つい」も、少しは減るのではないか、と、思えてならないのである。(つづく)