はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と五十一
「アホガ アホヨブ ハタライテ ハタライテ ハタライテ?」
自分のために、なら、まだ、ギリギリわからなくもない。大切な人のために、なら、より、わかるような気もする。だが、それでも、やっぱり、そんなに容易くわかってはいけないのだろう。ましてや、ソレが、組織のために、国家のために、と、なると、俄然、怪しい臭いが立ち込める。
そんな臭いに満ち溢れているのが、あの、「働いて働いて働いて」。もちろん、賛否両論あるにはあるが、ナゼか、ソレなりに、社会的に受け入れられもしている。
おそらく、よほど嬉しかったに違いない。ヤル気と勢いが余りまくって、つい、ポロッと。が、コトの真相だと思う。が、ひょっとしたら、ちょっとしたジョークのつもりであったのかもしれない。仮にそうなら、コレほど顰蹙(ヒンシュク)を買った、ついでに分断も呼んだ、ジョークは、そうそうお目に掛かれるものではない。
「『働けど働けど働けど』な『働いて働いて働いて』には『働かされて働かされて働かされて』がへばり付いていますよね」、と私。
「な、なんだよ、それ。早口言葉か?」、と、グラスに生マッコリを注ぎつつ、Aくん。
「アホがアホ呼ぶアホアホワールド、に、生きる、過去の成功体験の呪縛から逃れられないピーポーたちが陥りがちな、もう一つの心の有りよう、の、闇、です」
「闇?」
「ナニもカも犠牲にしてでも、文句一つ言わず、『働く』、『働ける』、コトを美徳とする、見事なまでの時代錯誤」
「見事なまでの時代錯誤、時代錯誤の闇、ね~。おっ。ソレって、ほら、あの、♪にっじゅ~よじか~ん、は~たらっけっまっすっか~、びじねすま~ん、びじねすま~ん、じゃぱに~ずっびじねすま~ん。だ、よ、な」
そのコマーシャルソングなら、なんとなく、遠い昔に聞いたような気がする。
「あれから、もう、数十年経つが、ナニも変わっちゃ~いねえんだな」
「しかも、高度成長期とまでは言わないまでもソレなりに、まだ、ギリギリ成長期であったであろうその頃、と、違って、『働けど働けど働けど』報われない」
「にもかかわらず、『働かせて働かせて働かせて』、な、わけだ」
「そんな、疲弊まみれのアホがアホ呼ぶアホアホワールドであるにもかかわらず、つい、ポロッと、『働いて働いて働いて』などと宣えてしまえる、圧倒的な権力者による悪しき『軽さ』が、『軽率』さが、『軽薄』さが、捨て置けない大問題なのだと思います」
(つづく)