ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1419

はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と五十

「アホガ アホヨブ ヘイワボケ?」

 「そんなアホがアホ呼ぶアホアホワールドに生きるピーポーたちが陥りがちな心の有りよう、ソレが」

 ん?

 「平和ボケ」

 「へ、平和ボケ、ですか」

 「そう。もちろん平和の、平和を守ることの、定義はサマザマ。ヤヤもすると、どうしても、だから富国強兵。だから敵基地攻撃能力。だから非核三原則破棄。だから、欲しがりません勝つまでは。みたいなコトにだってスルスルと」

 「なりがちですよね」

 「そう、なりがち。たとえば、圧倒的にミサイルが足りない、ってな」

 んん?、ミサイル!?

 「あたかも、もっと、もっと、ミサイルが装備さえできれば『平和』は守れる、勝ち取れる、かのような迷言。虚言。戯言(タワゴト)。が、大手を振って罷り通る。むしろ、コッチだろ、恐るべき平和ボケは」

 ミサイルごときで平和は守れる、勝ち取れる、などとマジで思ってしまうコトこそが、平和ボケ、か~。

 「アレだけの数の原発をバカみたいにつくりまくっておいて、ミサイルだぜ、ミサイル。どうやって守るんだ。平和ボケもいいところだろ、違うかい」

 違わない。

 「いったい、何基、装備すれば、その平和ってヤツが守れると、勝ち取れると、思ってるんだろうな」

 んん、ん~。

 あの人たちは、本気でそんなコトを思っているのだろうか。

 「ひょっとしたら、『一家に一基、ミサイル装備』なんて国防啓発ポスターまでお目見えするかもしれねえぜ」

 あり得ない。

 い、いや、「一家に一口、ミサイル装備税」なら、充分にあり得るか。

 いやいやいや。

 そもそも、あの人たちは、平和のためになどと微塵も思ってはいない。

 「ドコまでいっても永遠に、ミサイルと平和は繋がらない。繋がるはずがない」

 たまらず、つい、ポロッと。

 「おっ」

 「すみません」

 「謝らなくてもいい。そう僕も思う。が、ところがどっこい、あの人たちは、粘り強い地道なdiplomatic power(ディプロマティックパワー)、つまり外交力、ではなくて、圧倒的なmilitary power(ミリタリーパワー)こそが平和に繋がる真の力だと宣う」

 「平和に繋がるなんて、きっと思っていない」

 「おっ」

 「す、すみません」

 ナゼか妙に強気になって、さらにポロッと。

 「謝らなくていいって。と、なるとだ。またまたカネ絡みやら外圧絡みやらによる、あの、致し方なし、って、ヤツか」

 「そうです。その、『致し方なし』ってヤツ、だと思います」

 「ま、本気で平和に繋がると信じている、意地でもそう信じたい、ピーポーたちも、結構いるとは思うが」

 「妄想ですよ、そんなの」

 「おっ」

 「す、す、すみません」

 完全に調子に乗ってしまって、さらにさらに、ポロッと。

 「いやいや、まったくその通り。妄想。妄想以外のナニモノでもない。そして、その妄想がひた走るその先にあるモノは・・・」

 そこまで語って、Aくん、突然、黙りこくり、静かに、グラスに残っていた生マッコリをグビリと呑み干す。(つづく)