ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1417

はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と四十八

「ナントカサンハ ガンバッテハル~」

 事実を語らない。

 責任も取らない。

 どころか、被害者面(ヅラ)さえしてしまう。 

 「こんなに頑張っているのに、ナニも悪いことなんてしていないのに、苛(イジ)められる。と、平然と言ってのけられるぐらいでないと、到底、政治家なんて、できないのかもしれませんね」、と私。

 「かもしれねえな。悲劇のヒロイン、悲劇のヒーロー、で、勝負に出る。のもまた、戦略としては正しかったりしてな」、とAくん。

 悲劇のヒロイン、悲劇のヒーロー、で、勝負に出る、か~。

 たしかに、戦略としてはアリなのかもしれない。

 けれど。

 「ですが、とくに政治家に対しては、『ナントカさんは頑張ってはる~』、『ナントカさんを苛めないで~』、では、あまりにも過保護過ぎやしませんか」

 またまた、過保護過ぎる、愛。

 溺愛。

 一つ間違えれば、信仰。

 もちろん、残念ながら、歪んだ、似非(エセ)、信仰。

 「頑張ればいいってもんじゃねえからな」

 「むしろ、頑張っているそのコトが、その方向性が、トンでもないって場合もありますからね」

 「ある。大いにある」

 「世界に目を向けても、圧倒的な権力による大量虐殺、ジェノサイド、やら、戦争、やらも、あの人たちの理屈では、おそらく、『私は頑張っている』、なのでしょうから」

 「まさに、恐ろしい頑張り。この手の頑張りほど厄介なモノはねえからな」

 恐ろしい、頑張り、か~。

 たしかに厄介だ。いや、もう、厄介などという生ぬるい言葉では言い尽くせないレベル、かもしれない。

 「あっ、そういえば」

 ん?

 「自分のことでなんだけど」

 んん?

 「晩年、校長に、『ヤヤこしくなるので君は頑張らなくていいから』などと、よく、言われたもんだ」

 「でしょうね」

 「なんだよ、それ」

 うわっ、ヤバい。条件反射のように、おもわず、ポロリと口が滑ってしまった。

 「す、すみません」

 「いや、謝らなくていい。とくに晩年は、できる限り己の信じる道を直(ヒタ)走り、言いたいコトを言って、やりたいコトをやって、いたわけだから。もう黙ってろ、おとなしくしてろ、と、校長が言いたくなるその気持ちも、わからなくはない」

 わからなくは、ない?

 「でも、今でも納得はしていないのでしょ」

 「もちろん。適正、適切、適法に、ヤラせてもらっていたわけだからな。真摯に受け止めはするけど受け入れはしない」

 うっわ~、やっぱり。

(つづく)