はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と四十八
「ナントカサンハ ガンバッテハル~」
事実を語らない。
責任も取らない。
どころか、被害者面(ヅラ)さえしてしまう。
「こんなに頑張っているのに、ナニも悪いことなんてしていないのに、苛(イジ)められる。と、平然と言ってのけられるぐらいでないと、到底、政治家なんて、できないのかもしれませんね」、と私。
「かもしれねえな。悲劇のヒロイン、悲劇のヒーロー、で、勝負に出る。のもまた、戦略としては正しかったりしてな」、とAくん。
悲劇のヒロイン、悲劇のヒーロー、で、勝負に出る、か~。
たしかに、戦略としてはアリなのかもしれない。
けれど。
「ですが、とくに政治家に対しては、『ナントカさんは頑張ってはる~』、『ナントカさんを苛めないで~』、では、あまりにも過保護過ぎやしませんか」
またまた、過保護過ぎる、愛。
溺愛。
一つ間違えれば、信仰。
もちろん、残念ながら、歪んだ、似非(エセ)、信仰。
「頑張ればいいってもんじゃねえからな」
「むしろ、頑張っているそのコトが、その方向性が、トンでもないって場合もありますからね」
「ある。大いにある」
「世界に目を向けても、圧倒的な権力による大量虐殺、ジェノサイド、やら、戦争、やらも、あの人たちの理屈では、おそらく、『私は頑張っている』、なのでしょうから」
「まさに、恐ろしい頑張り。この手の頑張りほど厄介なモノはねえからな」
恐ろしい、頑張り、か~。
たしかに厄介だ。いや、もう、厄介などという生ぬるい言葉では言い尽くせないレベル、かもしれない。
「あっ、そういえば」
ん?
「自分のことでなんだけど」
んん?
「晩年、校長に、『ヤヤこしくなるので君は頑張らなくていいから』などと、よく、言われたもんだ」
「でしょうね」
「なんだよ、それ」
うわっ、ヤバい。条件反射のように、おもわず、ポロリと口が滑ってしまった。
「す、すみません」
「いや、謝らなくていい。とくに晩年は、できる限り己の信じる道を直(ヒタ)走り、言いたいコトを言って、やりたいコトをやって、いたわけだから。もう黙ってろ、おとなしくしてろ、と、校長が言いたくなるその気持ちも、わからなくはない」
わからなくは、ない?
「でも、今でも納得はしていないのでしょ」
「もちろん。適正、適切、適法に、ヤラせてもらっていたわけだからな。真摯に受け止めはするけど受け入れはしない」
うっわ~、やっぱり。
(つづく)