はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と四十六
「テンプレーター!」
「そんな読解力の低下を、とくに低下した権力者たちを、下支えするのが、template (テンプレィト)」
テンプラ?
「巧みに練られた雛型、定型書式、で、逃げ切りを図る。逃げ切る」
あ、あ~、テンプレート。
無駄に発音が良くて、わかり辛い。
「ソレって、某地方自治体のトップの答弁でも話題になっている、あの、テンプレートですよね」
「はいはいはい、そう、その、テンプレート。いや~、発揮してくれているよな~、見事なまでのテンプレーターぶりを。その『史上屈指』感、恐れ入るよ」
史上屈指のテンプレーター、か~。
「どころか。アソコまでいくと、もはや、もう、アーチストの域という意味で、テンプレーティスト、と、言ってもいいかもな」
テ、テンプレーティスト?
いくらなんでも、さすがにソレは、ちょっと、褒め過ぎではないか、と。
「もちろん、嫌いなタイプのアーチストではあるけれど」
ほっ。
「でだ。あの手のテンプレーターたちの共通点」
ん?
「ソレが」
んん?
「コレ。成功体験」
成功体験、か~。
「誰かが用意してくれたテンプレートで上手く逃げ切れた。という、成功体験。に、味を占めて、バカみたいにソレを繰り返すわけ」
なるほど。
「『なんだと~』とカッとして、己の言葉で墓穴を掘るぐらいなら、はるかにテンプレートは有効だということだ」
そして、何度も何度も繰り返す、か。あたかも、ミニマル・ミュージックかナニかのように。
「以前、バリ島のウブドで、夜、目にした、耳にした、ケチャ。ケチャ・ダンス。男たちが『チャッチャッチャッチャッ』と、繰り返し、繰り返し、陶酔していく様は、まるで、神さまが降臨してきたかのような、そんな感じでしたけれど。申し訳ないですが、あの人たちの『繰り返し繰り返し』には、おそらく、ナニも、降臨なんてしないと思います」
「しねえだろうな~。いや、ひょっとしたら、邪神として恐れられている八十禍津日神(ヤソマガツヒノカミ)やら疫(ヤク)病神やら死神やらあたりは、その悪臭に釣られて、引き寄せられて、降臨、するかもよ」
うっわ~、クワバラ、クワバラ。
(つづく)