ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1409

はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と四十

「コウゲキ ノ タメノ コウゲキ ハ マットウナ コウゲキ デ アラズ」

 「つまり」

 ん?

 「つまりだ」

 んん?

 「ゲスい口撃にドンな意味があるのか、って、こと」、とAくん。

 ゲ、ゲスい攻撃、口撃に、ドンな意味が、か~。

 んん、ん~。

 「言い換えるなら、曲がりなりにも他人(ヒト)を口撃する時は、『情(ジョウ)』が介在していてはダメだってこと」

 情、か~。

 先ほどの「好き嫌い」にも似た得体の知れない魔物、情。たしかに、厄介ではある。ソレほど、私たちは、ヤヤもすると、どうしても、その「情」ってヤツに左右、支配、されがちだからだ。

 「もっと言わせてもらえば、情に塗(マミ)れまくっているような口撃に、果たして意味はあるのか、ってな」

 Aくんが指摘するところのその手のゲスい口撃。申し訳ないが、ソコに、単なる自己満足以外の、以上の、ナニかを見出だすことは容易いことではない。

 「気に入らない相手を叩くことが目的になってしまっているような口撃のための口撃、に、意味はない、と」、と私。

 「そう、ソレだ。口撃のための口撃。本来、口撃なんてものは、事実と法的裏付けがあって初めて真っ当な意味をもつ。そうでない口撃は、単なる誹謗中傷。あるいはmasturbation(マスタベーション)。と、受け取られたとしても、まず、文句は言えねえよな」

 マスターベーション、か~。

 「自己満足、という意味ですよね」

 「そう、自己満足。なんだけれど、ソコに、身勝手な『快楽』めいたモノがベチャッとへばり付いている」

 身勝手な快楽がへばり付いた、自己満足、か~。

 最悪だ。

 「己の快楽のために他人を叩く、なんてコトが、万が一にもあってはいけない、ということだ」

(つづく)