はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と三十七
「ヒンイ ッテ ナニ?」
「そもそも品位ってナンだろうな」、とAくん。
たしかに。
品位ジャーたれ、の、その品位って、そもそもナンなのだろう。
「たとえば」
ん?
「『わたくし、ほんの、ほんの少しの気の迷いによりまして、つい、してはいけないコトをしてしまったわけでございますけれど、様々なご指摘も真摯に受け止めさせて頂きつつ、反省できますコトは誠意をもって反省していく方向で検討し、同じ過ちを繰り返さないよう努めさせていただく所存でございます。ので、今後とも、ご支援ご鞭撻(ベンタツ)のほどおん願い申し上げ奉(タテマツ)ります』と『てめえら、バカみてえにズルズルズルの公職選挙法違反やらカネカネカネの収賄やらオシモオシモオシモの不倫やらばっかりじゃねえか。ナニやらかしてんだ、バカヤロ~、トットと辞めちまえ』とでは、ドッチが、品位がないってことになるんだろうな」
ん~・・・。
慇懃無礼(インギンブレイ)、対、罵詈雑言(バリゾウゴン)、ということになるのだろうが、性格の悪さ、対、口の悪さ、と、置き換えてみると、その答え、意外とサクッと見えてきそうだ。
「少なくとも前者の方が、圧倒的に、性格は悪そうですよね」
「どころか、前者は犯罪者だからな。上品な犯罪者と下品な追求者、告発者、を、同じ線上に並べちゃいけねえんじゃないか、ってな」
たしかに。
犯罪を起こしておいて品位もヘッタクレもない、と、私も思う。
「ヤタラ、恥ずかしくなるぐらい犯罪者を生み落としておられるある政党の、トップが、たかがヤジごときに、しかも、かなり真っ当なヤジに、まるで鬼の首を取ったかのように、エラそうに、『もうやめた方がいい』、『子どもに見せれない』、『恥ずかしい』、などと、宣えてしまう。コレが、コレがいわゆる上品ってヤツで、たとえば、『裏金問題を解決しましょうよ』とヤジを飛ばすことが下品なら、もう、私は、下品で結構、下品でナニが悪い、と、声を大にして言わせてもらいます」
「まだまだ一向に怒りが収まらない、って、感じだな」
「収まりません。収めたくもない。だって、あの人たちって、ナニが子どもに見せれないモノなのか、恥ずかしいコトなのか、が、全くわかってないでしょ」
「わかってねえよな~。とにかく上っ面、ばかり。使えそうなその手の上っ面で、己の、己たちの、身を、守るために気に入らないヤツを叩く。叩きまくる。ソレに尽きる」
使えるモノはナンでもカンでも気に入らないヤツを叩くためのツールにしてしまう、か。
そんなナンともカンともな今日この頃だからこそ、今一度、品位を守る、って、ナンなのか、を、あの人たち、のみならず、私たちも、考えてみる必要がありそうだ。
「ヤジと喧嘩は江戸の華、ならぬ、国会の華、で、なきゃ~、お話にもナンにもならねえのに、またまた、そうしたヤジに対する見え透いた指摘が、糾弾が、犬笛となって、オキテ破りの理不尽な個人攻撃に、家族攻撃に、トンでもない誹謗中傷に、繋がってしまいかねないというんだから、ホント、マジ、大切にしなければならないはずのナニかが完全に狂いかけて、壊れかけて、しまってるよな、この国は」
(つづく)