ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1403

はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と三十四

「ケッキョク ジャクニクキョウショク?」

 「焼肉給食とちゃいまっせ~」

 更に一層、Aくん、唐突感フルスロットル。申し訳ないが、ほとんど意味不明。

 「あの、ナニがナンでも大阪弁のあの男なら、きっと、条件反射のようにそう言うに決まっている」

 Oくんのことだ。

 「弱肉強食」

 あ、あ~。

 弱肉強食、焼肉強食、焼肉給食。

 たしかに、彼ならそう言うかもしれない。というか、言う。間違いなく、言う。

 「焼肉給食なら大抵の子どもたちは大喜びだろうが、弱肉強食となるとそうもいかない。命懸けの争奪戦になるだろうからな」

 そりゃそうだ。

 「不本意ながらも、結局のところ、この世は、焼肉給食、ならぬ、弱肉強食。だってこと」

 弱きモノは強きモノの肉となり、強きモノはソレを喰らう、か。

 いやいや、ダメでしよ、ソレ。トンでもない。ナニ時代の話だ。

 「ナンともカンともなトンでもないソコ、底、からの、脱皮、こそが、目指すべき私たち人類の進歩と調和であったのではないでしょうか」、と、少し苛立ちつつ、私。

 「その通り。弱肉強食からの脱皮こそが人類の進歩と調和。なんだけれど、そこかしこの権力者たちの言動を聞くにつけ見るにつけ、やっぱり人類ごときには、このハードル、高すぎたんじゃねえか、ってな」

 な、なんと弱きな、Aくん。どうしてしまったのか。

 ソレは、ソレとして、ソレにしても。

 ナゼ、世の権力者たちは、己の権力を、地位を、守るためなら、弱者たちを犠牲にしても全くもって平気なのか。ソレが権力者というものだ、と、言ってしまえばソレまでだが。だからといって、そんな理由で納得などできるものではない。

 「私は、権力者なんてものは、この世で、最も小心者なのではないか、と、思っています」

 「権力者が小心者?」

 「だから、より大きな権力を握りたがる。怖いから、周りの反対分子を徹底的に叩きもするし、己を守る法もつくる。コレらって、小心者の典型的な行動様式ですよね」

 「ほ~、いい分析だ。巨大な権力を握ってしまった小心者が、自由を、人権を、平等を、平和を、この世を、ブッ潰す」

 うわっ、まさに、この世の終焉。

 「つまり、小心者の権力者と頭の中空っぽの能天気なピーポーたちとの合わせ技一本、というわけか」

 トンでもない合わせ技一本ではあるけれど。

 「だと思います」

 おそらく、その合わせ技一本が、この世に終焉をもたらす、かもしれない、その、最も出だしの過ち。なのだろうな。

 い、いかん、いかんいかん。

 またまたズンズンと気持ちが重く、深く、沈んでいってしまいそうになったものだから、秒速で、ネギ焼き一切れと生マッコリを口の中に放り込む。(つづく)