ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1401

はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と三十二

「ウィンウィン ノ イノチゴイ ダイサクセン!」

 「ナニからナニまでウィンウィンの命乞い大作戦、丸出しだよな」

 ウィンウィンの命乞い、作戦?

 またまた私の独り言が聞こえてしまっていたのか、そう吐き捨てるように語りながら、そして、例のその匂いを漂わせながら、Aくん、やっと、やっと戻ってくる。

 「ナニをされていたのですか」、と、さすがに、少し、つっけんどんに、私。

 「瀕死のマイナンバーカードにしても、アップアップの政党たちにしても、ナニがナンでも背に腹は代えられぬ命乞い大作戦。生き存(ナガラ)えるためには手段を選ばない」

 私の質問には、パーフェクト、スル~。ま、いいけど、まるでドコかの地方自治体のトップのよう。

 「権力もカネも、そう簡単には手放さねえぜ、って、感じなんだろうよ」、と、さらにソコに被せるように吐き捨てつつ、あの匂いの元をトンとテーブルの上に。

 うわっ、美味しそう。

 そして、ナニやらカルピスっぽい中身のペットボトルとグラスも、ドン、トン、トンと。

 「パ、ジョ~ン」

 パ、ジョン?

 「チヂミね」

 あ、あ~。

 「風(フウ)の、大阪名物、ネギ焼き」

 かなり回りくどい言い回しだけれど。

 「に、冷蔵庫の奥で眠っていた、生、マッコリが、絶妙に合うわけ」

 なるほど、なるほど、韓国であろうが大阪であろうが目の前のコレと、ソレ。たしかに間違いなくベストマッチングなんだろうとは思う。ソレほど、見るからに美味しそうなのである。

 「このネギ焼きと生マッコリと、みたいな、相乗効果が大いに期待できる『ウィンウィン』ならナンの問題もねえんだがな」

 と、呟きながら、トクトクと、トクトクと。

 綺麗な色。

 「国産コシヒカリに韓国産の麦麹。ドチラもいい仕事をしてくれているんだよな~」

 あまりに美味しそうなので、たまらず、まず、ネギ焼きを一切れ。

 すると、口の中にブワッと韓国と大阪が。

 後(オク)れをとるまいと、大慌てで、ソコに、その生マッコリを、グビリ。

 合う。合うわ~。

 ネギ焼きに塗られた酸っぱ甘辛い味噌系のタレに、スッキリとマロヤカに生マッコリが絡みながら、喉を、トゥルトゥルと通過していく。

 ホント、マジ、美味しい。

 Aくんが言うように、こんなウィンウィンならナンの問題もないだろうに。(つづく)