はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と二十三
「クチハッチョウ テハッチョウ」
元々はポジティブな意味で使われていたのに、ナゼか、いつのまにかネガティブな意味でも、というか、むしろ、ネガティブな意味で、使われるようになってしまった言葉、慣用句、が、あったりする。
たとえば、あの、口、八丁、手、八丁。
口も手も八丁な口八丁手八丁は、トにもカクにも口も手も図抜けて巧みなわけだから、そう簡単にはネガティブになんてなりようがないと思うのだけれど、ところがどっこい、その志次第で、目的次第で、使われ方次第で、その口も手も災いの元となってしまう。しかもその災い、当の本人に、ではなく、私たち一般ピーポーに、降り掛かってくるというから厄介なのである。
そんな口八丁手八丁が、一際(ヒトキワ)気を吐く時がある。ソレが、選挙。とくに罰則規定が設けられているというわけでもなく、あとで、なんとでも言い訳も言い逃れもできると思っているからなのか、この時とばかりに、もう、あるコトないコト、正しきコト正しからざるコト、織り交ぜて、口八丁手八丁の花盛り。
案の定、そうした、あたかも公約であるかのように力強く訴えておられた美味(オイ)しい謳(ウタ)い文句の数々は、選挙後の、「すぐにできるわけではない」やら「そういうつもりで言ったわけではない」やらといったオキテ破りの口八丁手八丁の花盛りによって、信じられないほどアッサリと、消し去られてしまったりする。
選挙前も選挙後も、口八丁手八丁は花盛りなのである。
もちろん、すぐさま選挙公約を実現しろ、達成しろ、などと宣うつもりは、サラサラない。立ちはだかるその壁の強さ、高さ、重々承知しているつもりだ。
けれど、その実現に向けて、命懸けで取り組んでいこうともせず、すぐさま、「すぐにできるワケではない」やら「そういうつもりで言ったワケではない」やらと、言いワケ三昧で逃げに転ずる、その姿勢に、その手口に、どうしても、胡散臭(ウサンクサ)い詐欺師の臭(ニオ)いを感じざるを得ない。
そう、詐欺師の手口、詐欺師の臭い。
口八丁手八丁から詐欺師の臭いがプンプンと漂ってくる、そのコト自体が、この国の「政治家」の、「政治」の、劣化を、見事なまでに象徴しているように思えて、ならないのである。(つづく)